豚インフルエンザにおける日本とドイツの比較

Business Media 誠



前回に引き続いてだが、日本の豚インフルエンザ報道に違和感を覚えて仕方が無い。
ドイツでは豚インフルエンザがテレビでトップ報道になることもないし、日本のようにコンサートが中止になることも無い。
最近驚いた事だが、地元の中央駅でドイツ人の酔っ払いが「Schweinegrippe!(豚インフルエンザ)」と何度も叫び、わざとらしい咳をしながら人ごみの中を歩いていた。周りのドイツ人はどういった反応を示していたかといえば、意に介さず無視するか、笑って眺めるだけの二種類しかいなかった。日本であれば多分、嫌な顔をして避けられるか、マスクをしろとでも注意されたのだろうか。




先日行われたハンブルク恒例・日本人会主催花火大会は例年と変わらず満員御礼だった


日本の都市部には蔓延を助長する満員電車があるが、ドイツにもある。サッカーの試合後は、日本の満員電車並だ。通勤時間でもドイツの大都市は日本の地方都市以上の込み具合だ。
人口密度に関しては単純に比較できない。ドイツは他欧州諸国と同じく、都市人口が過密だ。全人口における都市人口の割合は主要30か国中でドイツは6位だが日本は22位(United Nations 2005 World Population Prospects: The 2004 Revision :Wall Chart)。持ち家率に関しては日本の60%以上に対し、ドイツは30%台となっている。ドイツの都市部は集合住宅ばかりであり、人の密集度は日本以上といえる。
証拠を出すまでも無いが、日本の夏は熱帯気候並の高湿度でインフルエンザが繁殖しにくい。対照的に、ドイツの夏は日本と違い乾燥している。にもかかわらず、マスクをしている人は皆無だ。
初感染も、ドイツの方が日本よりも早かった。
日本人の衛生概念は世界一といえる。日本人であれば風呂やシャワーを毎日は普通だが、ドイツを含む諸外国ではシャワーが主で、毎日入らない人も多い。
以上の条件だけみると、ドイツで豚インフルエンザ感染者が増えない方が理解できなくなる。


では何故、これ程までに日本で新型インフルエンザが蔓延しているのだろうか。答えは自ずと絞られてくる。
答えのヒントとして“蔓延”ではなく“発見”が浮かびあがってくる。
しかしながら、人口1000人あたりの医者の数は、ドイツの3人に対し日本は2人と日本の方が少ない。これだけを見てしまうと、日本で感染者の発見数が増えるのが理解できない。


余談だが、医療分野においても日本人の性質が垣間見られる。日本の医者は日本のサラリーマンと同じく働きすぎだが、日本のサラリーマンと同様に他国の同職よりも所得が多い。
昨今の医者も過労と薄給で大変だとは聞くが、ドイツの医者は日本以上の薄給だ。過労が無いだけドイツの医者はマシとも言えるが、低収入を許容できるか否かは別問題だろう。ドイツの医者もピンきりだが、平均すると月収は50万円にも満たない。故に、ドイツでは医者の海外流出が問題になっている。


では何故、日本で発見数が爆発的に伸びているのだろうか。理由は幾つか挙げられる。
倫理観にも通じ具体性に欠けるが、几帳面な日本の国民性故か医者にも優秀な人材が多い。更には日本の遺伝子分野は世界の最先端を走っている。CTスキャナーの数は日本が世界一で65台、二位のアメリカは27台で日本はダントツとなっている(UNSCEAR・2000年報告)。MRI保有台数も日本は世界一。それ以外の医療機材でも世界最高水準の保有率だ。高度医療体制のお陰もあり日本は出産時の死亡率が世界一低く、平均寿命も世界一となっている。
日本人の国民一人当たり年間受診回数は21回と世界一で、OECD発表の世界平均と比べて三倍近い。
世界保健機構(WHO)の研究所は世界に2つしかなく、フランスのリヨンと神戸にある。


Q. WHO神戸センターのお仕事について教えてください。

WHOは各国の厚労省が集まっている組織のようなものですから、新しいデータを必要とするときには、WHOが直接研究するのではなく、WHOの協力機関にその研究の実行と結果の提供を求めています。その協力機関はWHOコラボレーティングセンターといい、世界に合計3000以上の大学や研究所がその指定を受けています。しかし、例外的に2つだけWHO本部直轄の研究機関を持っています。1つはフランスのリヨンにある国際がん研究センターで、そしてもう1つがここのWHO神戸センターです。WHO神戸センターは、英語でWHO Center for Health Developmentといいます。人々の健康をつくっていく上で社会や行政はどういう政策を実行すべきかを研究しています。実験や試験管を振っての理科的な研究ではなく、もっぱら社会科学的な視点で研究を行う機関として位置付けられています。


以上のデータから日本で感染者が拡大している原因として、以下が挙げられる。

  • 世界最高水準の高度医療化による発見率の向上
  • 世界最高水準に神経質な国民性(世界最高水準の一人当たり年間診察回数)


日本の原因を鑑みるにあたり、他国には高度医療体制がない為、豚インフルエンザと他インフルエンザを区別できなく、更には楽天家が多いとの事も分かってくる。


念には念は大切だ。しかしながら、インフルエンザ以外にも問題視する懸案事項が色々あるのではないだろうか。世界の繁栄は日本に懸かっている。不安しか煽らないマスコミが、隆盛しつつある日本の政治や経済の芽をもぎ取りかねない状況だ。儲かるのがマスク屋だけでは何の意味も無い。
しかも、専門家はマスクに感染予防の効果は無いと言っている。確かに、薄っぺらいガーゼでウイルスを完全に防げるとも思えない。
感染者にしても、無理をして学校や会社に行って周りから「頑張っているね!真面目だね!」と褒められたいのだろうか。現実は迷惑がられるのがオチなのだから、マスクをするくらい咳が酷いのであれば、自宅療養するのが常識ではないだろうか。


Business Media 誠:感染予防の効果はいかに? 防じん用と軍用のマスク 5月21日

(抜粋)
 「マスクで感染が防げるという科学的データは出ていない。ウイルスは空気中をいつまでもフワフワ浮いているものではない。飛沫はマスク以外の髪や顔に付く。一番重要なのは手洗い。十分に洗えば6割は防げるでしょう」と話すのは、元小樽市保健所所長の外岡立人氏。「マスクは感染者が広めないためにするもので、非感染者がマスクをするのは日本人の習慣でしかない」という。


日本人の習慣か・・・もしくは・・・マスク製造会社の陰謀かもしれない(笑)



ドイツの医療は今・・・

(抜粋)
「それから、日本から介護保険の視察に来て、『ドイツは素晴らしい』と言って帰るのは、いい所、きれいな高級なところだけを見せられているからです。今ドイツでは、福祉施設での老人のイジメが大問題になっている。起こして欲しい、といわれて、起こしたまんま、今度は寝かせに来ない、なんて意地悪をする。自分で食べられない人に、テーブルの上に食事だけを置いて帰ってしまう。で、介護の人に意地悪されたくないから、視察に来た人にも、いい顔する。後で、『あんた、さっきはへんな顔していたね・・・』とイジメられたくないから。介護保険も黒字だ、なんて言っているのは、最初の2年間は何もしないで保険料だけ集めていたからで、当たり前のこと。今では赤字です」。

 加えて、「製薬企業(これはとどのつまり世界の財閥、"死の商人"たちと思いますが)が、薬を飲ませるためにとんでもないキャンペーンをしているか・・・」。

 「血圧なんか、私の習ったときには160/95だったのに、今じゃ大変低くなった。高脂血症の基準値が下がっているのも製薬会社の陰謀です」。

 「ドイツで有名なバイエルは、子会社にジェネリックを作らせて、2,000錠の無料パックを薬局に納めて、処方してもらっている。それでも儲かる、と。で、一人の人が、一生の間に高脂血症の薬を飲むといくら、とかちゃんと計算している」。

 聞いていた聴衆から、「日本はそれに比べるといいね、この日本の今の医療体制を守らなくては」と、声があがったのは至極当然であった。