ドイツ人の暑さに対する考え方

6月のドイツはもう夏だ。最近になりやっと夏らしくなってきた。30度を越える日も珍しくない。日本であれば一斉に冷房をきかすところであるが、ドイツの建物や公共交通機関や車には冷房が無いものが多い(暖房は有る)。店内やオフィスは熱気で蒸し返し、バスや電車や車は車体の熱と日差しと相まって灼熱地獄となる。バスにおいては窓が開かないため、さながらサウナ状態だ。冷房慣れしている日本人であれば、数分でダウンするような過酷な温度である。だが、驚くのはこれだけではない。これら熾烈な環境においてもドイツ人は文句も言わず、暑いとも言わずじっとしているのだ。日本人同士であれば、「暑い」や「エアコンも無いのか?」を数十回も言うような環境であるにも関わらずだ。ドイツ人は冷房慣れしていないせいもあるが、夏は暑くて当たり前だという発想もあり、この暑さを楽しみ、そして感謝しているようだ。無論、冬に寒いとの言葉もドイツ人から聞いた事は無い。日本人は、それはドイツ人の強気からだと言うが、それは違う。ドイツ人は日本人よりも鈍感であるが、日本人よりも素直だ。彼らは感情に正直なだけなのだ。ドイツ人は外が極寒の気温でも車内の暖房を付けない人が多い。彼らのような適応能力を日本人は失ってしまったのだろうか。ドイツ人が森を間借りしている村だとすると、何か今の日本人は森を失ってしまった都会のような気がしてならない。