公権力と格差社会

時々私は、公権力というものは国民の為ではなく公というシステムを保全する為だけに存在しているのではと思うことがある。そして実際に、そのように腹黒く陰惨な世界かもしれない。思うに『公権力は民衆の為』というレトリックが民衆の“希望的観測”、もっと深刻に例えるのであれば“現実逃避”を増徴させているのではないだろうか。
仮に公権力が巨大な悪だったとしても一市民が立ち向かえるはずもない。次に、その様に悲惨な現実は想像すらしたくないし、あり得ないと思う気持ちが芽生える。最終的には憶測をやめる事が最善との判断をする。これは紛れもない負のロジックだ。それ故に、誰も公権力の暴走を止められない状況に陥っているのではないだろうか。
現実的に「うちの子に限って・・・」と言われるような子供が凶悪犯罪を起こし、今も世間を騒がせている。もしかしたら、警察も「うちの子」なのだろうか。まさか、警察が犯人を擁護するわけでもないし、見逃すわけも無い。だがそれは本当なのだろうか。
数々の警察による韓国人や在日朝鮮人犯罪の隠蔽工作。パチンコ店に代表される多くの業界や組織との癒着、賄賂、天下り。これら表面的な事実でさえ充分、平和な民衆を脅かす危険で陰惨極まりない行為ばかりだ。それでも本当に警察は信用がおける公権力なのだろうか。
今回の女性監禁事件においての警察の対応も全く的を射ていないし、これで本当に国民を守れるのかと思ってしまう。


村本容疑者、新妻に暴行で“新婚生活”1日で破たん

大阪府茨木市のマンションで女性会社員(24)が監禁された事件で、村本卓也容疑者(42)が十数年前、新婚旅行から帰宅した当日、新妻に、ライターの火を押し付けたり殴りつけたりの暴行を加えていたことが、府警捜査1課捜査本部の調べでわかった。

 妻はその日のうちに実家へ逃げ、新居のマンションでの新婚生活は1日で破たんした。その後、同じマンションで女性が監禁されたとする被害が相次いでおり、府警は、妻に逃げられたことが女性を監禁するという異常行動の背景にあるとみている。

 府警によると、当時、村本容疑者は父親が経営していた土木建設会社に勤務。両家の親族を集めて結婚式を挙げ、約1週間、新婚旅行をした。
(読売新聞) - 8月8日


(上記より抜粋)『府警は、妻に逃げられたことが女性を監禁するという異常行動の背景にあるとみている。』
これが本当に警察の見解だとしたら、少年探偵団に任せたほうが数倍早く事件が解決しそうだ。
現代日本において、何処に新婚旅行帰国当日、夫からライターの火を押し付けられたり殴られたりして気丈に夫婦生活を営む女性がいるのだろうか。記事が正しければ、彼の異常行動が妻を逃がしたのであり、妻が逃げたから彼が異常行動を起こすようになったわけではない。


救出メール、緊迫性なし判断=友人あてで「顔文字」−女性監禁傷害・大阪府警

大阪府茨木市のマンションで、女性会社員(24)が5カ月間監禁された事件で、女性の両親の捜索願を受けた府警堺東署が、女性が監禁直後に救出を求めたメールが友人あての上、文面に若者が好んで使う「顔文字」が使われていたため、緊迫性がないと判断していたことが6日、分かった。 
時事通信) - 8月6日


電話が出来ない状況の中で、メールで顔文字を使って救出を求める行為は中年男性諸氏には理解できない方も多いのだろうが(携帯電話を取り上げない犯人も何だが)今時分、顔文字は記号を組み合わせなくとも漢字変換と同じように変換可能だし、パソコンでも話し言葉優先との設定で顔文字を漢字変換と同じように変換できる。漢字も顔文字も入力する手間は同じだし、若者にとって顔文字の方が漢字よりも瞬時に相手の感情を目で見て理解する事が可能だ(漢字も、本来は顔文字と同じ象形文字なのだが)。漢字を使っているから信用できて、顔文字を使っているから信用できないでは一般人の発想と同じだし、そのような貧困な推測で仕事をされては権謀術数にたけた犯罪者の思う壺ではないだろうか。
更には、メールだけではなく両親が捜索願をしていたにも拘らず警察は動かなかった。初動捜査の遅さは日本の警察に限ったわけではないがそれにしても酷すぎる。それだけではなく、9年前に同容疑者が22歳女性と二歳男児を監禁した際では、被害女性の母親が場所を突き止め、府警署員が同行して現場に行ったが、女性と男児を見つけ出せないまま捜査を終えている。

今回の事件でも日本の問題点を垣間見る事が出来るだろう。警察による公僕ならざる問題点は既に述べたが、それ以外として同容疑者の憂慮すべき社会的背景が挙げられる。
彼は父親が所有するマンション内の空き部屋を転々と移動しながら多くの女性を監禁してきた。更には親族から遺産も相続している。まさしく既得権ニートだ。今、日本は格差社会になりつつあると言われている(最も、世界各国から比べれば今もって日本は稀に見る平等社会だが)。既得権ニートは親だけの世話になる通常のニートと違い、何世代も社会に寄生する存在だ。日本にとっての格差社会はこの様な人々とロジックを創り出すだけではないだろうか。日本は貧困平等社会ではなく、高所得平等社会だ。何故この様な誇るべき社会を捨て、裕福層の自堕落的暴走や貧困層の闘争的暴走に、敢えて油を注ぐ必要があるのだろうか。


所得格差は日本を滅ぼす悪