ドイツと日本の物価格差

mensch2007-02-11


物価水準の話題は多いが、実際には一概にどの国が高いか安いか、はっきり判断することは難しい。
例えば、北欧諸国は異常な程の高物価だが、住んでいる人々も高い収入があり、その分高い税金を払っており、公共福祉施設は格安で利用できる。対照的に途上国の中国や韓国は日本よりも平均収入が大幅に低いが、大都市では既に日本よりも高物価の商品が多くなっている。
日本の地方と大都市の収入格差は2割程度だが、中国を例に出すと都市部内でも以下引用のように数十倍もの収入差が存在しており、これに内陸部を加えずとも日本とは比較にならない位の格差社会となっており、低所得者にとって中国都市部の高物価は耐えられないレベルにまでなっている。


中国都市部に広がる貧富差 JMR生活総合研究所

これまで中国では、内陸と沿海、東部と西部、都市部と農村部など地域間における収入格差が社会問題として注目されてきた。しかし、最近の調査では、同じ都市においても賃金格差による収入の格差が急速に広がっている。例えば、中国国内でいちはやく改革軌道に乗った広州では、企業の会長の月給が54万6,000円(4万1,844元)で、警備員との賃金格差が74倍までに広がった。中国の金融センターの役割を担う上海では、銀行の支店長と清掃係との格差は70倍に達した。内陸に位置する重慶市では、沿海地域と比較して格差が少ないものの、27倍となっている。


地域によって収入格差や物価差があるのはドイツとて同じで、東ドイツと西ドイツの収入格差は消えておらず、物価格差も存在する。チェーン店はドイツ国内の何処でも同じ価格だが、地方だけの店で飲食店ともなると、少なくとも2割割前後は西ドイツのほうが東ドイツよりも高い。


そして、特産の有無や資源の有無、需要と供給のバランスでも物価が違ってくる。例えば、ドイツはビールが500mlで日本円に換算すると100円以下もあり安値だ。パンやソーセージも安い。対象的に、寿司などはネタの貴重さから非常に高価なものとなっている。だから、一般的ドイツ人と同じような食生活をしていれば食費はかからないが、日本人と同じような食生活をドイツで行うとなると一般ドイツ人以上のエンゲル係数になる事は避けられない。
ガソリン代金は日本よりもドイツのほうが高いが、ドイツではトラック以外は高速道路を無料で利用できる。また、都市によって多少異なるが、ドイツの地下鉄は一駅でも200円以上するが、長距離は州内一日乗り放題や週末乗り放題などの格安チケットがあるなど、一概に日独どちらが良いとは言えない。
余談だが、酒は特に地域差が有って面白い。日本の焼酎はドイツにおいて日本酒よりも高価だし、イタリアは地元民の行く飲食店なら750mlで500円位の格安ワインが飲める。


更には、為替相場も影響する。例えば日本人が円高の国に観光に行く場合と、円安の国に行く場合はかなりの差が広まってしまう。円安は貿易立国日本国にとっては更なる高度成長を約束させる歓迎すべき事象だが(現実に、日本経済は戦後最長の好景気で今現代も躍進している)、海外旅行に行く人々にとっては、対象国が円安の場合は高物価に思えてしまう。


実際には、全ての物価を調べるのは不可能といえる。昨今、日本で流行っている100円ショップなどは、他のアジア諸国にも負けない低価格ながら良質な商品を提供している。だからといって100円ショップの商品が全て安いかと言えば、そうとも言えない。
エンゲル係数の高低で、物価に対する捉え方も対象も変わってくる。食うや食わずの貧困層にとっては食費=物価であり、裕福層にとっては、宝飾品や旅行費用が物価になる。経営者にとっては人件費や仕入れ値が物価になる。このように、個人の嗜好や対象商品の種類によって、物価に対する捉え方は同じ地域でも大幅に異なってくる。


こうやって見ていくと、物価の高低を嘆くのが無駄な事に気付く。北欧で仕事をして、アメリカの家に住み、東南アジアで外食と休暇をとって、日本でショッピングを楽しむ事は大金持ちでもなければ無理だが、大金持ちは物価の高低などいちいち嘆くのだろうか。その前に、移動代や労力、時間の方が物価よりも問題になるのは確実だが・・・。


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