ドイツと日本における食品管理体制

日本では不二家やロッテ等の食品業界不祥事が相次いでいるが、こういった話題に関して日本の消費者は神経質に反応し、マスコミも自分達の不祥事を棚に上げて、ここぞとばかりに過剰に煽る。
そして、さも知ったように日本企業の管理体制が劣っているかの如く煽る風潮も如何なものか(ロッテは韓国だが)。しかしそれも、ドイツを比較対象として挙げると日本の管理体制云々よりも、日本の消費者が如何に厳しい選別眼を持っているか分かってくる。


ドイツが環境大国との例えは、ある種幻想である。リサイクルにしても実際には日本の方が進んでいる。ゴミの分別は、廃棄者の段階だけ見ても日本とは比べものにならないほど適当だ。そして、食品に対する管理体制に関しても、ドイツが優れているとはお世辞にも言い難い。


2002年ドイツ、禁止されているはずの発ガン性を含んだ除草剤が、家畜飼料である小麦に含まれている事が暴露された。許容レベルの実に600倍という高基準であり、主に鶏の飼料として使われていたようだが、これによって鶏肉やタマゴなどの汚染も確認された。しかも、この鶏肉やタマゴはスーパーでビオ食品(無農薬食品)として売られていた。


また2005年には、基準値を大幅に超えた残留農薬を含んだ野菜が大手スーパーで売られていたとの事実が発覚した。


そして昨年、賞味期限が4年以上前に切れていた食肉が食肉加工業者より出荷され、その多くがドナー屋(トルコ・ケバブ・ファースドフード店)に入荷されていたとの事実が発覚した。押収量は100トンを超える。


こういった不祥事は一種の見せしめの感がある。前回の日本における建築基準法違反もそうだが、逮捕された社長のように「どこの会社もやっている。何故、うちだけが・・・」とは本音であるし、ごもっともだが世間は許さない。日本の消費者はそこまで考えないし、マスコミも消費者に同調する。
不二家にしても過去の雪印にしても、日本の消費者やマスコミによるバッシングは少し行き過ぎではないだろうか。ドイツではこういった事件があっても、ドナー屋の売り上げが減ることもないし、大手スーパーが休業することも無い。


ドイツにおける管理能力の低さは、消費者に一番近いスーパーでも顕著に分かる。店頭では、肉を買うにも色が異常に鮮やかな食肉や汁が多く出ている食肉は注意を要する。こういった食肉は着色や賞味期限切れの可能性が高いからだ。だがこういった食肉でも、賞味期限間近のセールになれば途端に売れる(とりあえず、命に別状が無ければドイツ人は買う)。そして、野菜や果物も要注意だ。無農薬野菜でもないのに、腐っていたり、虫が付いていたり、家畜の糞が付いていたりする事が多々あるからだ。これらは、手にとって注意深く吟味しなければならない。それ以外の食品でも、賞味期限の過ぎた日にちが記載されたまま売られている事も多い。


ドイツでさえこの有様だ。仮に、食品の安全性を問題視するのであれば、中国や韓国などの途上国から入ってくる食品の安全性を疑問視するべきだろう。これら国家の安全管理能力は日本に遠く及ばない。残留農薬量や衛生管理体制は問題ないのだろうか。不二家の件は日本国内だからこそ発覚し、糾弾できた。
さて、隣国内の管理体制まで日本は把握できるのだろうか。