ドイツ人の集団主義“Ordnung(秩序)”

mensch2007-07-12


ドイツ人が集団主義との点は、今まで述べてきた。仲間内における連帯感は、世界一と表現しても過言ではない。それは、家族単位で連帯感を持たせる途上国とも違う。仮に血がつながっていなくても純粋に、Mitglied(一員)を庇護する。


例えば、大都市の駅近くにはホームレスが数多く存在するが、ドイツにおける彼らへの対応策は非常に寛大で特徴がある。無論、公によるホームレスへの施設提供や食糧配給は言うに及ばず、路上における新聞販売を彼らに推奨し、働くことの大切さを諭す努力も惜しまない。
そして、特筆すべき点は、一般ドイツ人による彼らへの慈愛だ。ホームレスや失業者もまた社会の一員であり、駅近くにいるホームレスや失業者は一般ドイツ人と分け隔てなくコミュニケーションを取っており、一般ドイツ人もまた彼らにビールや食料の差し入れをする。毎日、律儀に通勤通学・帰宅途中にこういった行為をする一般ドイツ人も居れば、パーティー後に残った大量の缶ビールや食料を、箱ごと渡しに来る一般ドイツ人も居る。こういった光景は、殺伐化した他国では見られない。


仲間を過剰なまでに擁護するとの点は、自虐的日本人には理解できない所業だ。それは例え仲間に非が有っても関係ない。


昨今、日本でも起きているが、ドイツではシェパードによる人への殺傷事件が一番多い。
ドイツには危険な犬リストがあるが、このリストにシェパードは載っていない。無論、これは、シェパードがドイツの誇るドイツ人によるドイツ人の為の犬であるからに他ならない。仮に日本で、秋田犬による人への殺傷事件が多かったらどうだろうか。自虐的日本人は、こういった隠蔽工作に近い行為はしないだろう。


自動車にしても、実用性及び環境への配慮を考えればドイツ車よりも日本車が良いが、多くのドイツ人は愛国心でドイツ車に乗っており、日本人が日本車を実用的との理由だけで買うのとは訳が違う。
だからこそ、日本人が敢えてドイツ車を買う理由がドイツ人には理解不能だ。彼ら曰く「何故、実用性も有り環境への配慮も有る自国の車を買わないで、わざわざ、それらが備わっていないドイツ車を買うのか」と。
だが、日本人は愛国心で自国の車を買っている訳ではない。はてさて、ドイツの環境大国も愛国心有ってのものだろうか。


今でこそ現実的社会主義国家として、日本や北欧諸国が挙げられるが、最初に現実的社会主義を掲げ実践したのもドイツだ。現実的社会主義の原型は、ドイツ人のマルクスにより提唱され、ナチスドイツにより実践された。
暴力に訴える行為は許されないが、先達てドイツで開催された先進国首脳サミットにおけるロストックでのデモ隊と警察の小競り合いも、アングロサクソン的弱肉強食社会に対するドイツ人の不信感を表している。


ドイツ人は仲間に甘く、敵に厳しい。そして一旦仲間から外されたら、もう仲間には戻れない。ナチスヒトラーが良い例だろう。
それらは、ドイツ人の集団主義が生んだものであり、他国であれば存在すら出来なかっただろう。そんな彼らを現代ドイツ人は、我々(Mitglied)とは別の存在だと敵視し、自己正当化する。ドイツ人は、自己を客観的に見ることが出来ない。一旦敵視した相手を冷静に鑑みる事が出来ない。


だが、ドイツ国民はナチスヒトラーに騙された愚鈍な家畜などではない。今も昔も、集団主義という確固たる信念を持った存在だ。
ドイツ人が更に成長するには、ナチスヒトラーも自分達の一部であり、自分達が望み生み出したものだと認める必要がありそうだ。
そして、ドイツ民族の存在意義は集団主義を尊ぶ事にあるのではないだろうか。アメリカ式個人主義に同調したドイツは、最早ドイツとは呼べないだろう。ドイツはアメリカ合衆国ドイツ州になるのか、それともEUの雄として、ドイツとして、“Ordnung(秩序)”を貫き通し広めるのか。
今まさに、試されている。


日本車賛美に反発の声 ドイツで(朝日新聞)

欧州連合(EU)高官やドイツの野党議員が環境に配慮した日本車を賛美する発言をし、独国内で激しい反発を呼んでいる。「自動車大国」のプライドを傷つけられたようで、「日本車には乗らない」と宣言する閣僚も出ている。
 環境重視の野党、90年連合・緑の党のキュナスト院内総務が2月12日付のフィナンシャル・タイムズ紙(独語版)で「ドイツ車は排ガスが多い。トヨタハイブリッド車を買おう」と呼びかけた。環境担当の欧州委員も今年に入り、ベンツからトヨタ製に公用車を変えたいと繰り返している。

 これに対し、ティーフェンゼー独運輸建設相は「独車に対する安っぽいボイコット運動だ」と反発。ガブリエル環境相も「私はドイツ人の税金で暮らす。日本車には乗らない」と明言した。

 独メーカーは環境対応としてディーゼル車に注力してきたが、注目を集めるハイブリッド車の開発では後手に回っているとされる。EUでは2月、新車の大幅排ガス規制に負担増のドイツが反対し、再検討を迫った経緯がある。メルケル首相は25日付独紙のインタビューで、独製の公用車の排ガス量が多い難点を認めながらも「私の愛車はフォルクスワーゲン」とひとまず国内メーカーを擁護、技術開発を強化するよう業界にハッパをかけている。