先入観

English Russia » Soviet Propaganda Against USA (posters)



ソビエトによるアンチ・USAポスター

人に対する偏見があるように、団体、国家、民族に対する偏見も多い。そして、悪い偏見だけではなく、先入観による過大評価も多い。
例えば最近は少なくなったとはいえ、マスコミによる民主党に対する過大評価はまだ続いている。


◆マスコミによる民主党に対する先入観


麻生元首相は、高くもないホテルのバーに自費で行っていただけだが、マスコミのバッシングは凄まじかった。マスコミによる自民党に対する偏見は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」そのものだった。


実際には、前総理・鳩山も現総理・管も、麻生元首相以上の庶民離れした飲食をしていたが、マスコミは大々的に報道していない。
鳩山は会員制クラブuraku AOYAMAのスイートルームで会食していた身分。入会金・個人会員1,575,000円、年会費378,000円のクラブが庶民的だとは到底思えない。
当時、鳩山邦夫が麻生元首相のバー通いに対し「喫茶店でお茶を飲むのに毛の生えたような話」 と答えたことに対し、鳩山は「首相が行くのは超一流ホテルのバーで、庶民感覚からすれば安いとはいえない。こういう発言は弟にも慎んでもらいたい」 とのたまったが、厚顔無恥も甚だしい。


鳩山も鳩山なら菅も菅で、南北朝鮮情勢が不安定で、支持率も危険水準を超えている状況にもかかわらず、総理車で民主党菅グループを一緒に乗せて、はしご酒の身分。


菅首相がはしご酒=総理車、タクシー代わり 時事通信社

菅直人首相は6日夜、民主党菅グループ江田五月参院議長、藤田一枝衆院議員を連れだって、はしご酒をした。2軒目に向かう際は、タクシー代わりに2人を総理車に同乗させており、批判も出そうだ。
 首相は午後8時すぎ、江田氏らが待つ東京・赤坂のすし店に到着し、2時間近く食事。その後、2人を総理車に乗せて銀座のバーに移り、1時間以上滞在した。
 総理車に乗ることができるのは通常、首相のほか秘書官や警護のSPに限られる。臨時国会閉幕による解放感のなせる業のようだが、飲食の相手方を総理車に同乗させるのは極めて異例。首相の「公私混同ぶり」をとがめる声も出そうだ。(2010/12/07-01:02)


麻生、鳩山、菅。果たして誰が一番、庶民離れしているのだろう。庶民離れどころか、浮世離れしている鳩山と菅が麻生元総理よりも叩かれないのはマスコミによる偏向報道、即ち先入観による過大評価が残っているとしか言いようがない。麻生元首相のバー通いは世間一般に知れ渡っているが、果たしてどれだけの人々が鳩山と管の行動を知っているのだろうか。
空気を読むのが得意なマスコミも、本気で民主党バッシングに靡かないと、国民から愛想を尽かされかねない。


アメリカや中国に対する先入観


国家や民族に対する偏見は、第二次世界大戦の影響が大きい。第二次世界大戦中は枢軸国・連合国、両陣営において実戦だけではなく、誹謗中傷合戦が繰り広げられた。日本では「鬼畜米英、暴支膺懲」のスローガンが思い浮かぶが、戦争に負けた戦後の日本は、戦前とは正反対に「自国=悪、アメリカ=善」と洗脳された。同様な状況は、同じ敗戦国のドイツでも起きた。
戦後も「日本・ドイツ=悪」との認識を持ち続けている連合国側と、自国が悪いと洗脳させられた枢軸国側。結果として、全世界で連合国を絶対無比の正義と過大評価し、枢軸国を極悪国家と偏見の目で見る人が生まれてしまった。


しかしながら、過去の日記にも記載したように連合国側は絶対正義ではないのは勿論ながら、実際には枢軸国側よりも残虐非道な行いをしている。アメリカによる日本軍投降兵虐殺、無差別空爆、原爆投下、沖縄大虐殺、イギリスによるドイツへの無差別空爆、過酷な植民地政策、ソビエトによるポーランド人、ユダヤ人虐殺、ドイツ兵・日本兵捕虜に対する非道な扱い。ドイツ・満州侵略時の民間人に対する陵辱・虐殺。これらは過小評価どころか、話題としても避けられている。
対照的に、枢軸国側の行為がどう扱われているかは、言うまでもない。


戦勝国側の枢軸国側に対する偏見がよく分かる例を紹介してみたい。第二次世界大戦が終わって間もない1946年に出版されたA・J・P・テイラー著の「ドイツ史の進路」では、ドイツ人とドイツ史が異常ともいえる偏見の目を持って描かれている。


テイラーはその後、1961年に出版した「第二次世界大戦の起源」にてヒトラーナチス・ドイツを擁護する論調を展開し、歴史修正主義者とのレッテルを貼られるが、そのテイラーでさえ第二次世界大戦終戦直後はドイツを偏見の目で見ていた。イギリス政府によるドイツ悪のプロパガンダに、洗脳されていたのだろうか。

「ドイツ史の進路」(抜粋)
ドイツの歴史はとりもなおさず両極端の歴史である。それは中庸を除くあらゆるものを内に含んでおり、ドイツ人は一千年の長きにわたって正常な状態以外のありとあらゆるものを経験してきた。彼らはヨーロッパを支配したこともあるが、他国による過酷な支配の被害者となったこともあった。ヨーロッパでも前代未聞の自由を享受したこともあれば、同様に前例を見ないほどう苛烈な専制政治の犠牲者となったこともある、彼らは最も卓越せる哲学者、精神的な音楽家を生むと同時に、最も残忍で無法な政治家をも生み出した。ドイツ人という言葉は、あるときは俗世間には不向きなほど多感で、信じやすく、敬虔な存在を意味し、またあるときは生きるに価しないほど野蛮で、不道徳で、堕落せる存在を意味した。この形容はいずれも真実である。いずれのタイプのドイツ人も、同じ時代のみならず同じ一人の人間の中に併存していたからである。
ノーマルな人間、とりたてて善人でも悪人でもなく、肉体も精神もともに健全で、中庸の道をわきまえた人間―そうした人間だけがドイツの歴史にいかなる痕跡もしるさなかった。地理的に見れば中間の人間でありながら、ドイツ人は思想の領域においても、とりわけ政治の領域においても、ついに中間的な生き方というものを発見しえなかったのである。ドイツの歴史にあっては、両極端に激しく揺れ動く振り子運動だけがノーマルな状態なのである。


テイラーは「ドイツ人は中庸がない」と言いたいようだが、最初に結論在りきな為か、無茶苦茶なコジツケが多すぎる。
「彼ら(ドイツ人)はヨーロッパを支配したこともある」は曖昧で、よく理解出来ない。ドイツという国家は明治日本と同程度の歴史しか無いので、実際にはドイツ人の歴史となるが、ドイツ人もしくはゲルマン民族がヨーロッパを支配したことはない。ゲルマン民族大移動時代の各部族によるヨーロッパ・北アフリカでの国家乱立をヨーロッパの支配というのであれば、当のイギリス人、即ちアングロ・サクソン人ゲルマン民族、ドイツ人との定義になってしまう。テイラーはドイツ人を貶しながら、イギリス人の自身すらも貶してしまっている。
ドイツ的な最初の国家をあえて探すとすれば、フランク王国が考えられるが、それとてドイツ西部、フランス、イタリア北部、ベネルクス三国程度の領土しか無く、古代ローマ帝国に遠く及ばない。仮に、ヒトラーの短いヨーロッパ占領も当てはまるとすればナポレオン、即ちフランスも同じ立場になる。


「過酷な支配の被害者」とは、一体何なのだろうか。ドイツは過酷な支配がなかったから、統一国家の出現が他欧米諸国よりも遅れた。フランスが過酷な絶対王政の時代、ドイツは封建時代であり、神聖ローマ帝国の皇帝は名ばかりで、飾りに過ぎなかった。
更にはハンザ同盟やライン都市同盟 などの自立都市国家は、過酷な支配とは対照的な存在だった。プロイセンがドイツを統一するが、それでも、権力を集中することは出来なかった。
ヒトラーによる支配を過酷というのはユダヤ人の多くに対しては間違いないが、ドイツ人に対しては無理があるように思える。ヒトラーは少なくとも選挙で選ばれ、失業率を減らし、ドイツの領土を増やした。戦局が悪くなってからヒトラー暗殺計画が浮上したが、仮に連戦連勝だったとしたら、ドイツ国民はヒトラーをどう評価したのだろうか。もし、ゲシュタポによる反ナチス弾圧が過酷な支配というのであれば、ソビエトでのGPUによる過酷な思想弾圧も同列に語る必要がある。
仮に、ヒトラードイツ国民に対し過酷な支配をしたのであれば、フランスに代表されるドイツ支配下のヨーロッパ諸国も過酷な弾圧を受けたことになり、ドイツだけが過酷な支配を受けたわけではなくなる。


「地理的に見れば中間の人間」とテイラーは述べているが、世界は欧州だけではない。そして欧州の区域も歴史によって異なるので、説得力がない。

「ドイツ人という言葉は、あるときは俗世間には不向きなほど多感で、信じやすく、敬虔な存在を意味し、またあるときは生きるに価しないほど野蛮で、不道徳で、堕落せる存在を意味した」に関しては、単なる情緒的な罵倒としか思えない。
ドイツ人は確かに、中庸ではないのかもしれないが、振り子ではない。古代から常に、秩序と契約を重んじており完璧主義者であり、野蛮でも不道徳でもなく堕落もしなかった。
ローマの歴史家タキツスは、98年発刊の『ゲルマニア』にて、退廃しているローマ人はゲルマン民族の高い道徳性や平等性を模範とすべきと説いていた。確かに、古代ゲルマン民族は当時のローマ人よりも質素な生活をしていたのだろうが、野蛮で不道徳で堕落していたのはゲルマン民族ではなく、ローマ人だった。


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ドイツに対し偏見を持っていたテイラーとは対照的に、ヒトラーは先入観によってイギリスを過大評価した為、結局は自身の首を締めてしまった。
ヒトラーは、ソビエトは絶対に倒すべき存在だと一貫して考えていた。イギリス人をゲルマン民族と捉えており、イギリスも嫌っている共産主義国家であるソビエトと戦争をすればドイツの味方になるとヒトラーは楽観視していたが、イギリス人はそれ程、お人好しではなかった。


1940年5月下旬から6月上旬にかけて電撃戦でフランスに侵攻したドイツ軍はダンケルクに英仏両軍四十万人を追い詰めた。この時に包囲網を狭めつつ空白状態になっていたイギリス本土を攻撃すればドイツはイギリスに勝てたが、将軍たちの勧めに耳を貸さず、ヒトラーは進撃を中断しイギリス兵をイギリスへ逃し、イギリスに「借し」を作った。
しかしながら、イギリスはヒトラーによる「借し」などに動じず、結局は英ソによる挟み撃ちを断行する。


結果として戦後、冷戦が生まれソビエトによる東欧諸国への侵略・弾圧、スターリンによる圧政、中国による周辺諸国への侵略・弾圧や毛沢東による圧政を許してしまったが、ヒトラーソビエト観は間違っていなかったことになる。


テイラーはドイツ人を振り子と例えたが、当のイギリス人はどうなのだろう。ポルトガル人やスペイン人、オランダ人、フランス人はどうなのだろう。新大陸で原住民を大殺戮し、アフリカで奴隷を買いあさり、アジアで搾取していたのはどの国だったのだろう。過去に散々、酷い行いをしておきながら、枢軸国側だけではなく、過去の南アフリカでのアパルトヘイトも叩く連合国側や、それに追従する中立国側の人々こそ、両極端に激しく揺れ動く振り子運動をしている。


アメリカは平和を唱えながらイラクを軍事占拠し続けている。イラクによる核兵器保有は冤罪であり撤退すべきだが、アメリカは石油利権が手放せない。終始一貫して腹黒い面を隠しつつ右へ左へ向くアメリカは、振り子より悪質な風見鶏ともいえる。風見鶏もアメリカも、中心の腹黒い部分は微動だにしない。
アメリカのコバンザメ国家であるイギリスや、平和を唱えながら侵略を正当化する中国もまた腹黒い風見鶏といえる。


最近ではウィキリークスが世間を騒がしている。遂に創設者が出頭したが、話題は尽きない。このウィキリークスからも、アメリカや中国のドス黒さがよく分かる。


流出の米公電、グーグル攻撃「中国共産党指導部が指示」=報道 2010年 12月 5日 ロイター


クラスター爆弾「国内使用認めよ」米国、アフガンに圧力 毎日新聞 2010年12月5日



エコノミック・ヒットマンが語るアメリカ帝国の秘史
アメリカを支配しているのは、ユダヤ人でも悪徳ペンタゴンでもなく、資本家達に過ぎない)


唯一、第二次世界大戦戦勝国ながら世界から正しく理解されている国は、ロシアくらいか。
嘗てのソビエトは、戦後の冷戦時代にアメリカによって悪の帝国に祀り上げられたが、核兵器や宇宙開発によって先進科学国家との先入観も植えつけられた。しかしながら、ソビエトの誇る科学技術はロシア人独自の科学・技術力ではなく、殆どがユダヤ人や戦後ドイツから連れて来られた科学者と、ソビエトスペースシャトルからも分かるようにスパイ活動によって発展している。
ソビエト崩壊後はロシアとなり、科学技術大国の虚構も白日のもとにさらされ、今ではマフィアが牛耳るだけの国家に成り下がっているが、終始一貫して悪を貫いているロシアのイメージは、変わっていない。


ロシアと比べ、アメリカや中国は、未だに過大評価されている。
最近の日本では反中思想が蔓延し、幻想から目覚めた人が多くなったが、仙谷のような人間が国家の中枢にいるように、全員が目覚めたわけではない。


【尖閣衝突事件】仙谷氏「日本が中国に迷惑」対中観で不一致2010.10.4 産経新聞

仙谷由人官房長官は4日の記者会見で、民主党枝野幸男幹事長代理が沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件をめぐり、中国を「悪(あ)しき隣人だ」などと批判したことに反論。戦前の日本が「侵略によって中国に迷惑をかけた」ことを理由に中国を擁護した。「対中観」で不一致が露呈した形だ。
 仙谷氏はこの中で「古くから中国から伝来した文化が基本となり日本の文化・文明を形成している」と歴史を説きおこし、「桃太郎などの寓話(ぐうわ)も中国から取ってきたようなものが多い」と中国の文化的優位性を強調した。
 さらに「歴史の俎上(そじょう)に載せれば、そんなに中国のことを(悪く)言うべきではない」と枝野発言を否定。「(中国は)清朝の末期から先進国というか英米帝国主義に領土をむしりとられてというと言い過ぎかもしれないが、割譲されて民族としても国家としても大変、つらい思いをしてきた歴史がある」と中国の近代史に同情してみせた。
 そして「返す刀」で日本の戦争責任論に触れ、「日本も後発帝国主義として参加して、戦略および侵略的行為によって迷惑をかけていることも、被害をもたらしていることも間違いない」と日本の侵略を強調して中国を擁護した。
 枝野氏は2日のさいたま市内での講演で、「中国とは、法治主義が通らないとの前提で付き合わないといけない」などと中国を批判していた。


今年の10月に仙谷は上記のような妄言を吐いた。元全共闘であり左翼の仙谷は、偏った歴史観共産主義の幻想も加わってより一層、中国を過大評価しているのかもしれないが、未だに中国を「孔子が生まれ、礼節を重んじる国」と評価している日本人も多い。
日本人だけではなく、外国人でも勘違いしている人がしばしば見受けられるが、日本人は今も昔も何処の国民よりも平和を愛する国民であり、博愛主義者であり、中国人(厳密には自称・漢民族)は日本人とは真逆で、エゴイストであり残虐な種族である。
中国は戦後日本が一切の軍事行動を起こしていない最中でも、チベット侵略、中ソ紛争、朝鮮戦争、中印戦争、中越戦争と数多の軍事行動を起こしてきた。日清戦争日露戦争支那事変にしても、全てが中国の軍事行動や軍事威嚇が伴っているとの事実を考えてほしい。日本は好戦的な中国にいつも攻撃を受け、防戦止むなしの状況に引きこまれている。そして、今の尖閣諸島問題にしても同じ流れといえる。
更には、今の中国経済にしても、外資と他国からの技術盗用と粉飾決算による虚構に過ぎない。中国に対する幻想は、同じ過ちを繰り返すだけだ。


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ウィキリークスは違法ながら、真実は何れ世に出、悪もまた裁かれるとの世界が近づいているようにも思える。
日米の密約よりも、アメリカや中国の悪巧みのほうが遥かに多く問題なのは今の世界情勢からも窺い知れる。
第二次世界大戦での敗戦国民であるドイツ人や日本人に対する偏見が消えるように、戦勝国民であるアメリカ人やイギリス人やフランス人、そして戦勝国のコバンザメである中国人に対する過大評価も、いずれ消えるのではないだろうか。


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