自動車産業

英国の誇る自動車メーカー、MGローバーが破綻した。最近景気の良い英国での破綻なだけに、衝撃も大きい。
対して日本企業は好調で、英国での生産を伸ばしている。日本車に競争力があるのは確かだ。今後も、確実に日本車のシェアは拡大していくだろう。
目下のライバルは、新興のチェコや韓国の自動車企業だが、彼らの技術は日本やドイツからの受け売りに過ぎない。価格競争力だけで対抗するのであれば、対ドイツ車には有効だが、対日本車にはあまり効果が期待できない。また、ブランド力にしても一朝一夕に築けるものではない。


昨今のユーロ高・円安は今後も続くと思われる。そして日本車の評判も、すこぶる良い。中でも、トヨタは販売ディーラから故障しないものを売って儲けが出るのか?と疑問視される位の故障知らずとして有名だ。私見だが、ここドイツでの日本車の人気順位はマツダトヨタ、日産、ホンダと続き、三菱、スバル、ダイハツ、スズキが同じ位か。
マツダは個性的なデザインが好評だ。欧州は、性能よりもデザインが重要視されている。韓国企業は現在、品質度外視で奇抜なデザインだけで売っている。日本企業も、欧州に関しては個性的なデザインを重視する必要があるだろう。欧州で人気のあるドイツ車が地味なデザインなだけに、同じ様な日本車が土俵に立った場合、長年の伝統のあるドイツ車に目が向くのは欧州人の人情として当然だ。日本企業は、日本で販売しているものと全く同じ車を欧州でも販売したらどうだろうか。欧州には欧州仕様の車を、との発想はそろそろ終える必要がある。


日本のアニメやゲームは、欧州仕様に変えなくても大人気だ。同じように、欧州向けでも日本国内仕様で同価格であれば、欧州の自動車市場は日本企業の土壇場になる可能性が高い。欧州人はハイテクに憧れているが、ハイテク装備の欧州車は高く一般庶民には手が届かない。ラジオやエアコンもオプションが当たり前のドイツ車は、標準装備では日本の軽自動車にも及ばない。日本国内と同様に、ハイテクでありながら低価格な日本車を売る事は出来ないのだろうか。
ドイツではマニュアルが売れているからと、マニュアルを売る必要も全くない。日本企業の特徴として”お客様を育てる”との理念が上げられる。日本のドリンク業界が良い例だろう。ドイツの飲食店では、ドリンク企業の怠慢の為かコーラ位しか売られていない。日本のドリンク企業が、様々な飲み物を広めたように、日本の自動車企業も、ドイツのマニュアル至上主義者に、オートマの良さをもっとアピールしても良いのではないだろうか。
一昔前の日本企業は、欧州車のバンパーは塗装していない樹脂製が多い(欧州人は合理的だから)との理由で、欧州で販売している日本車もバンパー無塗装が多かった(その当時も、日本では既にフル塗装車が主流の時代であった)。しかし、今はどうだろうか?欧州でも無塗装バンパー車は、古くて安っぽい車の代名詞になっている。


日本の車市場は欧州の車市場よりも進んでおり、激しい競争に揉まれている。であれば、日本国内の日本車をそのまま欧州に売り込めばどうなるか?結果は明快だ。