矮小と寛大

今回の尼崎の脱線事故を考えるにあたり、原因は厳格な時刻厳守と私鉄との顧客争いにあるりそうだ。


ドイツでは電車に限らず、ある程度の誤差や過ちは許容されている。日本人の危機感とドイツ人の危機感には、雲泥の差がある。日本人が絶体絶命と思う危機も、ドイツ人には大した問題では無い。しかし、日本人の危機意識が日本企業をここまで世界に通じる大企業にさせたのも否定できない。
ドイツの鉄道は、競合も無く同じ区域での奪い合いなどありえない。私の故郷ではJRと私鉄が同じ区域を競争しているが、傍目に見てこれ以上無駄な競争は無い。


だが、日本の過剰競争はサービスを与える側だけの問題でもない。サービスを受ける側にも問題がある。ドイツでは多少の停車位置の間違いや、電車の遅れも内輪で許される(客も寛大だ)。対照的に、日本ではどうか?クレームが上司に伝わり幹部に伝わり、関係者総連帯責任だろう。その余裕の無さが、人間関係を滞らせストレスを生んではいないだろうか。
完璧を望む結果が失敗を恐れ、失敗を隠蔽し、結果として大破局では本末転倒だ。
しかし、完璧であれば顧客が満足するのも事実であり、だからこそ日本企業のサービス精神も世界一なのだろう。このジレンマはいつまで続くのか・・・。