躍動と安息の狭間で

最近、大分暖かくなり木々の緑も増えた。朝晩はそれでも少し肌寒いが、正午ともなると20度を越え心地よい小春日和となる。
ドイツ人は気の早いもので、Tシャツ姿一枚の人々が多くなる。5月ともなればTシャツ一枚で過ごせる気候は、ドイツは寒いと思っている日本人からすれば意外だろうか。
冬の面影は少しずつ消え去り、灰色一面の世界は色鮮やかな世界に変貌する。それは、人の心も同じだ。


ドイツでは大都会でも少し足を運べば深い森が有り、その中に無数の遊歩道と小川が流れている。小川のせせらぎ、木々のざわめき、小鳥のさえずり、それらを耳にするだけで心が洗われる。ドイツ人は、その森の中で散歩やサイクリングや乗馬や日向ぼこりをして楽しむ。


ドイツは何も無いのではない。確かに日本的な考え方で言えば、何も無い。人の心を躍らす興行や人の心を刺激する施設も少ない。
しかし、確かにドイツには日本には無いものがある。人の心を癒す森と人の心を潤す自然の声が、ドイツにはある。