ドイツの休暇

早いもので、ドイツでは6月から夏休みをとる者が多くなる(最近のドイツは、6月らしからぬ肌寒い天候だが・・・)。
よく日本の祝日と比較してドイツは祝日が少ない為、ドイツ人は日本人よりも休みも無く働くと思われがちだが、これは全くの見等違いだ。悲しむべきか北ドイツは南ドイツの様にカトリックの休日が無いため、更に祝日が少ない。では何故、見当違いなのだろうか。
それには有給休暇があげられる。有給休暇は日本よりも取りやすく、更に言うなれば取らないと奇人に見られてしまうドイツだ。多い者では2ヶ月、少なくても三週間は休暇を取る。休暇は二週間だと言えば日本では多いほうだが、ドイツでは「少なすぎる」と呆れられる。
ドイツ人は、一人でも恋人同士でも家族でも、各々が各地へ旅行に行く。旅行先で日本人の様に分刻みで移動し活動する事は無い。ある者は読書、ある者は日光浴、ある者は釣り、ある者はサイクリングをしながら旅行先で数週間過ごす。日本人からすれば、もったいない時間の使い方だと思われるのであろうが、そもそも休暇は休暇なのだ。休暇は、心と体を癒し回復させる為に存在するとの考えをドイツ人は持っている。
日本人の、旅行をしたから何かをしなければならないとの考えは負担になってはいないだろうか。今の日本人は刺激を求めすぎている。刺激から得る快感は癒しに変わるのであろうか。変わらないとしたら、日本人は癒しを求めていないのであろうか。そのように考える暇も無いまま、多くの日本人は興奮状態の中で生き続けている。その興奮が冷めた時、癒しの術を知らない日本人はどうなるのだろうか。
静寂や安息から得られる快感を、日本人は未だ知らない。