風呂よりもシャワー

欧州全般にも言えることだが、ドイツでも風呂は余り一般的ではない。特に合理性を求めるドイツでは、時間と水を多く使う風呂よりもシャワーが一般的だ。朝晩のシャワーはドイツ人の習慣だ。この点では、シャワーすらも面倒がる他の欧州諸国の人々よりは綺麗好きな国民性といえる。
ドイツでは、ホテルはもとよりアパートでもシャワーしか有していない建物が多い。思うにいつから欧州人は風呂に入らなくなったのだろうか。公衆浴場を好んだローマ人の子孫であるイタリア人も、風呂は余り入らない。温泉施設が廃れた原因は伝染病と風紀の乱れとも言われているが、それ以外にも水が貴重になった事もあげられる。
此処ドイツで私が一番欲するものがある。それが日本の温泉だ。自然の景色を眺めながらの露天風呂。多種多彩な健康風呂。広々とした休憩場。日本の温泉施設は、日本が生んだ誇るべき癒しの手段だ。
今の日本には、温泉が無い場所でも、スーパー銭湯なるものもある。これら施設の素晴らしさを、もっと世界に広めるべきであろう。日本独特の文化は伝播力を有している。日本が誇る癒しの手段は動的なカラオケやTVゲームだけではない。遠い将来、日本の温泉施設やスーパー銭湯を模造したものが世界各地に建設されるのかもしれない。これら施設の癒しの力は素晴らしい。欧州人は海水浴での日光浴でも分かるように人前で裸になることにも抵抗感が無い。そして、古代ローマ人もローマ風呂に代表されるように風呂好きであった。今も温泉施設は確かに欧州にも残るが、どちらかというと安らぎというよりも動的な運動施設に近く風呂と言うよりはプールと言った方が良いだろう。そして、庶民的でもない。何方か、日本式温泉・銭湯施設を欧州に造ってはくれないだろうか。