ソニーのジレンマ

企業は巨大になればなる程、舵取りは難しくなり末端と先端の意思は通じなくなる。ソニーの誤算は一昨年前のサムソン(サムスン三星)との提携に始まる。
サムソンは今、あらゆる特許侵害を繰り返している。その被害を被った企業は松下電器富士通、キャノン、東芝と枚挙に遑が無い。


最近、米紙の「世界の企業ブランド価値番付」でブランドランキングとしてサムソンがソニーを抜いたとの記事が出たが、全くのナンセンスだ。そもそも、この価値番付にどの程度の信憑性があるのか。そして、在米コリアンの影響力をも考慮しているのか。此処ドイツでのサムソンの主力商品は携帯電話位。しかし、サムソンが誇る携帯電話すらも、中間材の70%が日本製品だ。故に携帯電話が売れるほど、韓国の対日赤字が増える構図となる。
これからも如何にサムソンが独自の技術を持たず、日本企業に依存しているかが分かる。
仮に日本が経済制裁を韓国に行った場合、韓国の産業は壊滅状態に陥る。
今まさに、場当たり主義のサムソンは壁にぶち当たり、ソニーも運命を共にしている。結果は分かっていたが、ソニー経営陣はこの因果応報すらも読めなくなったのか。
ソニーはサムソンの製品を利用したが故に粗悪品を出し続け、イメージの悪化を招いた。日本の企業であれば9割超の歩留まり率が、サムソンでは5割。ここには、歴然とした差が存在する。
サムソンは今も昔も何も変わっていない。日本の過去の技術を使い、安い商品を品質度外視で今も造り続けている。そこが、昔の日本企業との大きな違いか。
これは、韓国人の国民性にも通じる。彼らは、どうにかして楽して儲けようと考え、努力や勤勉よりも虚栄や弁舌を求める。


ソニーの再生はサムソンとの決別にある。ソニーは技術だけではなく、経営戦略も分からなくなったのか。
サムソンに必要なのは謙虚さと現実を直視する目だろう。それを持たない限り、永遠に日本企業には追いつかない事だろう。何れにせよ、予想通りの展開であり、その先も想像できる。


経営陣に必要なものは先見の明だ。浅はかな、場当たり主義は必ず崩壊する。偶然の一致かこの記事は、ヒュンダイもサムソンも同じ穴の狢と思わせた。三菱との提携、その後の提携解消、今のヒュンダイ車の質が旧態依然である事実。根本は同じなのだろう。

「アジアの昇り竜」こと、韓国サムスン電子の成長神話にかげりがみえてきた。本業の儲けを示す営業利益は、05年第2四半期(4―6月)に前年同期比56%減の1兆6500億ウォン(約1650億円)まで落ち込んだ。家電業界に詳しいアナリストは「最大の要因はソニーと組んだ液晶事業。今年4月に稼働した世界最大の液晶工場で、歩留まりが50%程度と低迷しているのが足を引っ張った」と分析する。
 そもそも両社が合弁に乗り出したのは、ソニーが薄型テレビで出遅れたのがきっかけだ。ブラウン管テレビの高い競争力の上にあぐらをかいていたソニーは、液晶やプラズマの研究開発をおろそかにした結果、薄型テレビの市場が急拡大したにもかかわらず、単独で製品化できない状況に。あせって飛びついたのが、低価格路線でシェアを伸ばしていたサムスンだった。
「シャープと組めば国内市場で競合する。日本で不人気の韓国メーカーならバッティングしないし、北米では高いソニーのブランドイメージで、低価格商品のサムスンとすみ分けができると踏んでの選択だったのではないか」と、業界紙記者はみる。一方、サムスンソニーと組むことで、量産によるコスト削減と同時に、自社製品のブランド力向上を期待した。が、結果は散々だったわけだ。
 家電メーカーの生産技術担当者は「サムスンの生産技術が、ソニーの要求するレベルに達していないのが原因。液晶の生産ラインは大画面化が進んでおり、装置の設定やメンテナンス、不具合が出た場合の調整といったノウハウは一朝一夕では身に付かない」と指摘する。
 従来のサイズでは装置さえあれば量産できたが、合弁工場で生産している第7世代(ガラス基板サイズが1.87×2.2メートル)以上の大型液晶では、そうはいかない。「生産技術のノウハウがないサムスンが巻き返すには時間がかかる」(前出の生産技術担当者)との見方がもっぱら。
 互いのフンドシで相撲を取ろうとしたサムスンソニーだが、両社痛み分けに終わりそうだ。【井上学】【ゲンダイネット 7月28日】