現代音楽における欧州の国民性相違

mensch2005-08-13

欧州は多文化世界でもある。それは、一見関係の無いような現代音楽にも象徴される。冬が長い北アイルランド出身のエンヤは荘厳な曲を生み、ローマ系民族国家モルドバ出身のO-ZONE(解散したが・・・)は暗い過去の歴史を持った国家に生まれたにも関わらず、ラテン系民族独特の明るさを音楽に表現する。フレンチポップスに代表されるフランスはコケテッシュで洒落た曲を作り出し、スペインはアセレへをヒットさせたラス・ケチャップに代表される様に底抜けに明るいダンスミュージックを生み出す。


ドイツはどうか。残念ながらドイチェスポップスは田舎臭さが抜けない。では何があるのか。第一にテクノが上げられる。テクノを活用したダンスミュージックは迫力がある。それはハードコアテクノと呼ばれ、ドイツを中心に欧州全土に広がっている。
そして、ドイツには昔から海外発信能力を有する音楽がある。それが、ジャーマンメタルだ。
顔ぶれは、クリエイター、ソドム、ホーリーモーゼス、ハロウィン、フェアウォーニングなど枚挙に暇が無い。ジャーマンメタルの素晴らしい点は、南北アメリカの暴力的で直線的なだけのメタルバンドには表現できないメロディアスさや悲壮美や無常感が溢れ出ている点だ。悲しい事に今、ジャーマンメタルは此処ドイツでも下火になってきている。だが、ジャーマンメタルとの名称は持たないが、変容しながらもその意思を継いだグループは今でも人気がある。古株のラムシュタイン(RAMMSTEIN)、中堅のオームフ(Oomph!)、新参のヌパガディ(Nu Pagadi)はドイツ国内で今もヒットを飛ばして続けている。


どうやらメタルはドイツ人にとって捨てられない歌謡曲のようだ。大人から子供までがメタルを聞くドイツ。そう、メタルこそドイツ民族の国民性を最も端的に表現しているのだ。例え世界がメタルを忘れようとも、メタルはドイツで市民権を確立し永遠に受け継がれる事だろう。

 Oomph!