平成不況の幻想

日本には、言い訳の様に不況だ景気が悪いと宣巻く人がいる。しかし、日本は本当に不況なのか?私にはそう思えない。


日本のGDP成長率は、他の先進諸国と肩を並べている(そもそも、成長率の審査基準も如何わしい。全ての統計を正確に得て現実の成長具合を測る事は不可能)。
また、周辺諸国と日本の成長を比べる行為も愚の骨頂に思える。今まで何も無かった中国が発展するのは、当たり前ではないだろうか。そして近年では、韓国がIMFの監視下に置かれた経緯もある。NIES通貨危機から、いまだ立ち直れていない。
実際に確実に成長している国は、東欧諸国やインドや中国位か(最も共産独裁、言論統制の中国も怪しいが)。


海外に出た方なら分かるであろうが、日本は世界で一番便利な国であり、物質が溢れかえっている。24時間営業、行き届いたサービス、低価格で高品質な商品、地方においても都会においても均一化したライフスタイル、世界のあらゆる食事・食品・物質が手に入る、低い消費税や所得税、低失業率、持ち家率の高さ、貯蓄率の高さ。これらは日本では当たり前になっているが、多くの国では不可能な事で、ドイツも同じく、これら全てが不可能だ。


駐在員の方々には分からないかもしれないが、平均的ドイツ人は平均的日本人よりもかなり質素な生活を営んでいる。
持ち家も少なく、部屋も少ない。東京都内は別として、日本の地方の平均的住まいはドイツ人の平均的住まいよりも明らかに広く大きい。
車にしても、日本の様に家族で何台か持つ事は経済的にも不可能で、家族で一台も持てない人も多々いる。
余暇のドイツ人は、例えとして日本におけるブラジル系の方々の様な過ごし方をしており、金をかけない過ごし方をしている方が多く、精々、近所でBBQかサイクリングをする位か(乗馬もあるが)。休暇で外国へ遠出をしても、その先でする事は同じだ。


故に、日本人の様に多趣味でもなく、スポーツもサッカーを観戦するか、スポーツクラブに通う程度の人が殆どだ。対照的に日本人は何と恵まれた環境にいるのだろうか。
だが、日本は世界で一番の好景気を維持し続けているが、日本人の心は荒むばかりだ。それは何故なのだろうか。
そこには物質に支配され、物質の為に自身の時間と精神を削られながらも生きている日本人がいる。物質からの日本人への見返りは、過剰なまでの刺激。
世界第二位の経済大国・日本が生み出した最先端の物質文明は、まるで、人の心と体を蝕む“最高純度のドラッグ”の様だ。刺激を体験した心は更なる刺激を求める。その行き着く先は何か。
本当は好景気にも関わらず今を不景気と思う心は、更なる刺激的なドラッグを求めている日本人の危険な依存症、中毒症状を表しているのかもしれない。