自然との共栄共存

mensch2005-08-20

ドイツは、何処の町にも自然が身近にある。
日本では車や人が我が物顔で行き交い、他の生き物達は隅に追いやられているが、ドイツでは人間以外の生き物達も、負い目無く行き交っている。ドイツの犬は法律上は紐を付けて散歩をしなければならないが、小型犬は殆どが紐を付けないで走り回っている。


夏の晴れた日は虫が縦横無尽に飛び回り、雨の日は巨大なナメクジが道を這いずり回る。スズメは手で届きそうな距離で餌を啄ばみ、鳩は人の足元で見繕いをする。ウサギは遠くからじっと人を眺め、木々はそんな内気な彼らをそっと守る。彼らは日本に居る同じ種族よりも明らかに人間に対して警戒感も劣等感も感じていない。


ドイツにおける彼らの人に対する反応は、人以外の他の動物に対する反応と全く同じで、人間も彼等には同じ動物にしか見えないようだ。
彼らの行動を目の当たりにするにあたり、世界は絶対に人間中心に考えてはいけない、心の通う仲間は人間だけではないと教えられる。自然の生き物と共存している民族は、何もアマゾンのジャングル奥深くに住んでいる人々だけではない。日本に次ぐ経済大国に住むドイツ人もまた、自然の生き物と共に暮らしている。


現代日本人の心の荒廃は、自然や田舎を倦厭した事も原因ではないだろうか。ドイツは、首都ベルリンにも広大な森が多くある。日本人の心の荒廃を防ぐ為にはもう一度、自然と共栄共存する生活を目指す事も大切だろう。
自然は、時には人間の小ささを教え奢り高ぶりを批判し、時には人間に様々な癒しを与え慰める。
人は自然から生まれた。人間にとって母なる自然が最大の理解者にもなり最大の癒しを与える存在にもなる事は、生命として当然の反応なのだろう。