ドイツの紅葉

mensch2005-10-24

ドイツは今、紅葉の真最中だ。日本では、郊外に出かけなければ壮大な紅葉を見る事が出来ないが、ドイツは違う。そこ彼処に公園があるだけではなく、基本的に殆どの道が並木道である為、街中にいても迫力のある紅葉を見る事が出来る。一面緑だった町が徐々に赤や黄色に彩られてゆく。日本の都会では対照的に、視界一面の紅葉を見ることなく冬を迎える人も多いと思う。生命の息吹をも封じてしまっている日本の都会や都会の人々が殺伐化して行く事は仕方が無いのかもしれない。
私は、季節の変わり目の度にドイツの偉大さを覚える。ドイツの町はいつも静寂を保っているが、景色は違う。ドイツの町は季節に応じて様々な色を見せてくれる。時には荘厳に時には軽快に。春はカラフルな花が咲き乱れ。夏は深い緑に包まれ、秋は紅葉に染まる、そして冬は一切を灰色のカーテンで覆う。それはレンガの色にも表れる、春は黄土色になり、夏は茶色になり、秋は焦げ茶色になり、冬は無彩色になる。色の変化は、人の心にも影響を与えているようだ。
ドイツはこれから長い冬になる。人の心も灰色に染まり、内に閉じこもるようになる。夏や秋が色鮮やかなだけに、11月12月の灰色の世界はとても無慈悲だ。しかし、その先に待ち構えるドイツが世界に誇る盛大なクリスマスは、塞ぎこんだドイツ人の心を暖かく慰めてくれる。ドイツのクリスマスがどこよりも盛大なのは、ドイツ人の自己防衛本能が齎すものなのだろう。