悪いのは国籍か、否、悪いのは犯人だ

今回、滋賀県で悲しい事件が起きた。犯罪者が日本国籍ではない場合、日本社会に馴染めなかった事が原因で、問題は現代の日本社会にもあるとの批判が、マスコミや市民団体から必ず出てくる。
そして、今回の犯人も「日本語がうまくできない。娘も幼稚園でなじめていない」と周囲に話していた。更には取調べでも「日本語が不自由で周囲との意思疎通ができず、生活習慣の違いにいらだっていた。」と供述している。その証言を元に、マスコミは言語の壁が原因であるかの如く喧伝する。
しかし、この報道は公平ではない。これでは、今回の犯罪の原因が言語(日本社会)の壁、如いては外国人であったが為に起きたとのイメージを人々に与えてしまう。非常に危険で、差別的な報道だ。在日外国人を擁護する市民団体は日本社会の壁に原因があるとでも言いたいのだろうが、見方によってはその通りに受け止めない者も多いとの事実を知るべきだ。もともと、在日外国人に批判的な日本人であれば、日本に馴染めない外国人は危険だとのイメージしか持たないだろう。
問題なのは、本当に言語の壁なのだろうか、日本社会なのだろうか、それは違うだろう。ドイツに住み言葉にも不自由しながら、私は社会に馴染もうと努力している。それは、日本に住んでいる多くの在日の方々も同じだ。そういった努力をしている人々をも怪しませる様な報道や、市民団体の言動は許せるのか。これは、国籍や言葉や日本の問題ではない。犯罪者だけの問題だ。世の中には今回の犯罪者よりも酷い待遇を受けながらも懸命に生きている人々が五万といる。そういった人々を賞賛しないで、犯罪者を擁護するような発言は絶対に慎むべきだろう。そして、犯罪者を擁護する人々は、被害にあった人々に対してどの様な顔向けが出来るのか。、仮に自身の身内が被害者であったとしても擁護できるのか、私は問いたい。
国籍が外国であるから擁護するのでは、それこそ見逃すわけには行かない。それにしても、前回の鬼の首でも捕ったような日系犯罪者の報道と比べるにあたり、中韓の人々が報道面でも優遇されている現状は何とかならないものだろうか。中国人(仮に中国在留朝鮮族だとしても)の方々は実名報道されるだけ、在日朝鮮人の方々よりは冷遇されているのだろう(だがこれは、マスコミへの圧力が有るか無いかの問題か・・・)。
これが、日系人の犯罪や日本人の犯罪でも、同じ報道体制でいたのか。国籍に一番こだわっている差別主義者は、紛れもなく日本のマスコミだ。

【関連】 言葉や文化で壁東京新聞
孤立する在日外国人 
 「お母さん同士の付き合いが難しい」「娘がいじめられていないか」。滋賀県長浜市で幼稚園児二人が殺害された事件で逮捕された、中国籍の主婦谷口充恵(みえ)容疑者(34)=本名・鄭永善=は事件前、周囲に不安を漏らしていた。在日外国人の支援者は「多くの子育て中の母親が言葉や文化の壁にぶつかり、同様の悩みを抱えて孤立している」と指摘する。 

 横浜市の民間非営利団体NPO)在日外国人教育生活相談センター・信愛塾の竹川真理子相談員は「『子どもが輪に入れない』など、自分のことよりも子どものことで悩む母親は多い。国際結婚が増え、髪の毛を振り乱して相談に来る母親が増えている」と話す。

 「日常会話はできても、教育にかかわる問題など細かい話はできない。どこで、どう自分を表現していいか分からず、孤立する」といい、「夫や保育園など、身近な人が悩みを受け止める必要がある」と指摘する。

 難民支援などを行う難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(東京都新宿区)事務局の佐藤直子さん(56)も「職場などのトラブルを突き詰めていくと、不完全な日本語が互いの理解を妨げている問題に突き当たる」と話す。

 一昨年六月、新宿区の団地で母親の母国マレーシアから来日した当時中学二年の少女が男児を突き落とす事件があった。事件をきっかけに文化庁自治体は、日本語教室に力を入れている。

 佐藤さんは「自治体の語学教室に通う人は多いが、こうしたサービスを知らない人たちもいる」と話している。


移民間差別 - ドイツとメランコリー