静寂のドイツ

mensch2006-02-25


ドイツ人は音に対して非常に敏感だ。町が騒がしい時は年末年始の花火と、サッカーの試合があった日位で、それ以外の日は静寂に包まれている。
騒音規制法も19世紀末に世界で始めてドイツが制定ものであり、音に対する敏感さは伝統とも言える。ドイツでは夜10時(または夜8時)から朝7時までは静かに過ごさなければならない。また、15時前後も昼寝や休憩の時間として静かにしなければならない。ドイツの家は殆どがレンガやコンクリート造りだが、以外と音が漏れる。故に夜10時以降、帰途に着き階段を上がる足音が聞こえるだけで苦情が来る場合も有る。夜10時以降にシャワーを浴びる事も基本的には駄目とされている。水の流れ続ける音が煩いからだ。更に、日曜日は全時間帯、静かにしなければならない。日曜日とは、そのもの安息日となっており、これは伝統的な掟だ(一人暮らしの若者の多いアパートは例外もあるが・・・)。
昼夜曜日問わず働き詰め遊び詰めの日本人からしたら信じられないかもしれないが、これがドイツの掟だ。そして、この掟により人々は安眠を約束され、心を癒すことが出来る。対照的に日本の騒音対策は余りにも遅れている。朝も早くから行政の広報がスピーカーから流れ、民間行事の実行を知らせる空砲が鳴り響き、選挙カーが立候補者支援の大音響を撒き散らしている。
アジアや南欧の喧騒も良いとは思うが、それらは安らぎを与えてはくれない。喧騒はカオスであり、そこには秩序はない。このドイツが与えてくれる静けさは偏にドイツ人の秩序を守るという気概の賜物なのだろう。
Alles in Ordnung? Ja!



さて、ワールドカップを控え、ドイツの常識も知らずに韓国の常識?「騒音攻撃」を引っ提げてやってくる韓国人サポーター達は、ドイツ人にどの様な印象を与えるのだろうか?訴えられるだけならまだしも、アジア人全体のイメージ悪化に繋がるような行いは如何なものか・・・。その行いがアジア全体の常識ではなく韓国だけの常識であり、日本の常識とは違うとドイツ人が理解してくれる事を祈るのみだ。

W杯、「音攻」で相手チームの睡眠を邪魔せよ! ドイツW杯でレッドデビルズの「騒音攻撃」再現なるか
 少林寺拳法は引っかき攻撃を馬鹿にすることはあっても、それよりもっと恐ろしい攻撃法についてはハナから言及しない。それは音を利用した攻撃法、「音攻」だ。

 耳障りな騷音で敵の神経をすり減らす無知で凶暴な攻撃。相手の身を傷つけるのではなくイライラさせ、敵陣を外から倒すのではなく内から自ら崩れるようにする驚くべき技術。ワールドカップでも「音攻」は有用な戦略だ。
 
 2002年6月3日夜、釜山市海雲台の某ホテル前広場。300人以上の韓国サッカー代表チーム応援団・レッドデビルズが宵の口から銅鑼(どら)や鉦(かね)を叩き、一晩中お祭り騒ぎをした。午前3時30分、客室の灯りが1つ2つ灯ったと思ったら、あわてて背広に身を包んだ男が広場に降りてきてこう言ったそうだ。「私はポーランドチームの責任者だ。みなさんは世界最高のサッカーファンで、その意思は私たちに充分伝わった。だから素晴らしいゲームのためにもう帰ってくれたらどうか」
 「もし選手たちの睡眠の邪魔になったのならすまなかった、そんな意図はなかった」と丁重に謝って、早く撤収すると急いだのに明け方5時40分まで鉦(かね)の音が止まなかったのは一体何の申し合わせだったのか。1950年ワールドカップでブラジル市民たちによって初めてお目見えして以来、ファンによる「音功」は開催国が享受する当然の権利として認められている。74年ワールドカップ、開催国の西ドイツは古典的「音功」法に技術的要素を加えた。決勝戦を控え、相手国オランダの中心選手たちが泊まる客室の電話のベルを一晩中鳴らした。「インタビューのお願いです」「何か必要なものはありませんか」「あー、申し訳ありません。間違い電話です」

 アドフォカート監督はワールドカップ期間中、ケルン市郊外のホテルを丸ごと借りた。入口から玄関まで2〓もあるという林の中の孤立した建物。長期間現地に泊まるので他の宿泊客は一切受けないという話。莫大な費用を支払う代わりに「音功」とスパイ侵入の可能性をあらかじめ断つということだ。

 2002年6月2日の晩、何者が筆者の電話に暗号のようなメッセージを残した。「これから釜山へ行きます。もし問題が起きたらコラムを1本書いて弁護してください」。問題のこの人物はドイツでサムルノリ(銅鑼や鉦など4種類の打楽器を打つ韓国伝統芸能)祭りを企画、夜明けまで続く場外闘争を陣頭指揮する予定という。

 劉邦の漢軍は物悲しげな音楽を演奏して楚の兵士の心を容赦なくえぐった。その男の「音功」が四面楚歌の故事どおり相手選手の心を揺さぶり、ひっくり返し、乱しますように。こんなことをしてでもわれわれ韓国人は太極戦士たちの助けになりたい。カンカ〜ン、カカカ〜ン、グァグァグァグァグァ〜ン。

チョン・ウォンジェ崇実大学教授(前サッカー協会技術委員)

朝鮮日報

音攻が「開催国の当然の権利」とは初耳だ。西ドイツのそれは韓国の音攻とは全く異質の様な気がするのだが・・・。「敵陣を外から倒すのではなく内から自ら崩れるようにする」それは外から崩しているのでは・・・。まぁ、これも各国の常識の違いだろうか。