所得格差は日本を滅ぼす悪

昨今、盛んに一部の保守層が富の格差は悪いことではなく平等は悪平等だと喧伝している。そして、極左はそれを突く。私は敢えて保守に物申したい。富の格差は悪であり、平等は悪ではないと。日本には世界に誇るべきものが数多くあるが、その一つが北欧社会と同様の平等社会だ。現在の共産社会やその他の自由経済社会を見てみるが良い。ロシアでは一部のマフィアが巨万の富を得て、暴力で民衆を支配している。中国においては、過去は共産党幹部への富の蓄積、現在では海岸部への富の蓄積が多くの不満を増大させている。上海人が美食にうつつを抜かしている最中、広元県の農民は年収一万円以下の生活で食料も満足に自給出来ない中、家族を支えている。
韓国においてはソウルの直近くにバラック村(貧民街)があり電気も水道も通らないバラックで、バケツや桶をトイレにしながら多くの人々が生活をしている。これは極端な例だが、同程度の生活を余儀なくされている韓国の貧困層は実に一千万人前後も存在する。
アメリカは自由やアメリカンドリームと欺瞞に満ちたスローガンを標榜しながら実際は、アフリカ系アメリカンやメキシコ系アメリカンは最下層に追いやられている(数多くのアフリカ系芸能人の成功物語は巧妙な誤魔化だ)。ドイツでは今も貴族が跋扈し、文化や経済でリーダー的役割を持っている。富の蓄積は不満を生み、教育の格差を生む。更には治安の悪化を齎し、国民の気力を失わせ国力の低下を齎す。これは紛れもない事実だ。日本が是ほどまでに成長できたのは、教育が貧しいものにも富むものにも平等に与えられたが故だ。これは見せ掛けだけのアメリカンドリームとは違う真のユートピアだった。
考えてほしい。貴殿が仮に貧しい家の生まれだったとして、医者の子は英才教育を受け、親から地位と豪邸を譲られる。対照的に自身は親から借金と不名誉を譲られ最低限の教育も受けられない。それで正常な社会が果たして築かれるのだろうか?希望の無い出生であったとして救いがあるのだろうか?
富の蓄積は社会不満を増徴させるだけだ。今の日本に増えているニートは親の資金で無職でも生活できるが、彼らの一生涯を約束させる程の資金は無い。だからこそ、子は何れ自立せざるおえなくなる。富の蓄積はこういった若者期だけではなく、数世代に及んで、先祖の資金を利用するニート子孫(階級)を生ませるだけだ。
そして、格差は少子化に更なる拍車をかける。そもそも、貧乏になれば多産になるとの考えは余りにも安直過ぎる。途上国の人々ならいざ知らず、先進国における貧困層の子沢山はそのまま生活水準の低下を齎す。ましてや、今の日本人は一度豊かさを知ってしまった。何処に子供を生んで更に貧しい生活を率先してしようなどと考える日本の若者がいるのだろうか。日本における貧しい若者夫婦は、生活水準を下げてまで子供を儲けようとは考えない。同じ金を使うのであれば子供に使うよりも、自分達のお洒落や旅行や趣味に使ったほうが良いと考えるだろう。
主観的に分析するとしよう。簡単な例えとして、気候は別として貴殿は北欧諸国に生まれたいか、それとも南米に生まれたいか?南米だとして、富豪に生まれる確立は高いのか?南米の富豪に生まれたとしても住環境は安全か?少し考えるだけでも北欧と南米どちらに生まれる方が得策かは誰の目にも明らかではないだろうか。そして、南米と北欧どちらが経済的文化的に豊かで安定した国であるのか考えるまでもない。
何度も言うが、今の日本の利点そして強さは貧しいものにも平等なチャンスを与えられているが故だ。財閥解体は無駄だったのか?ソニーやホンダは何故生まれたのか?それらをも、保守は崩そうとしている。これら妄言をのたまう保守の正体は、金の亡者または富める既得権者にしか過ぎない。彼ら擬似保守層は在日朝鮮人既得権益を弾劾しながら、自身の既得権益には何も触れない偽善者達だ。日本人は彼らの戯言に騙されてはならない。日本の今までの発展は平等思想にある。それは古来受け継がれてきた「和」の思想にも通じる尊ぶべき思想だ。それを今の日本人は無碍にしようとしている。これは尋常ではない。
日本を中韓の様な中華思想的差別社会にしたいのか?欧米の様な階級社会にしたいのか?平等社会こそ日本の誇るべきものの一つとの事に早く気付くべきだろう。それは過去の日本が既に証明している。日本は、共産主義が熱望しても成しえなかった高所得平等を達成した史上初の誇るべき国家だ。その誇りを捨て、数多の三流国家に同調するは愚の骨頂ではないだろうか。