日独会食マナーの違い

日本とドイツにおるマナーの違いについては前にもお伝えしたが、それは食事中でも顕著に分かる。ドイツ人(欧米全般だが)は麺類やスープ類を音を出しながら飲食する行為が殊更嫌いだ。だからドイツ人が日本に行って、ラーメンは疎か、音を出してパスタを食べる家族を見て卒倒するのも仕方が無い。故に欧米では、こういったシーンをパロディにすることも多い。


だが少し考えて欲しい。これは単なる文化の違いではないだろうか。郷に入っては郷に従えとは良く言うが、海外に出た日本人がこういった行為をして失笑を買うのは仕方が無いが、日本国内の欧米人が物笑いにする行為は如何なものか。


それを言うのであれば、日本人から見た食事中でのドイツ人による仰天の行為も存在する。それは、鼻を擤む行為があげられる。ドイツ人は、相手が食事をしている最中でも臆面も無く何も言わずに鼻をかむ。日本人であれば、トイレにでも行って人知れず鼻をかむのが礼儀であるが、ドイツ人にそういった概念は無い。更には、鼻をかむにも勢い良く大きな音を出すのが良いとされるから、その響きたるや日本人が鼻をかむレベルではない。そのうえ、ティッシュでもハンカチーフでも、鼻をかんだものは乾けば使えるとの事で、後生大切に取って置きその後、また使うのだ。
仮に、鼻かみ音世界選手権大会が有ったとしたら、ドイツ人は優勝候補だが、日本人は予選落ちだろう。これには、何よりも鼻をすする行為が汚いとの伝統がドイツに有るから然もありなん。鼻をすする音が嫌いなドイツ人であるから、麺類やスープ類をすする音も嫌いなのは理解できるだろうか。だが少なくとも日本人は、彼らの行為を文化的違いと分かっており、仮に印象に残ったとしてもパロディにすることは無い。


頼もしいことに、日本人のツワモノは臆面も無くドイツ人の真似をする。こういった些細な面でも日本人の寛容さ、機敏さが伺える。無論、彼ら日本人はおちゃらけて真似しているわけではない。
他国の文化を素直に受け入れ順応する日本人と、自国の文化を第一に考える海外の人々。日頃、自己主張の無い日本人と卑下されがちだが、日本人の持つ柔軟さも、今日の日本を築いた礎の一つなのだろう。