日本食の定義を崩すアナーキスト達

赤と白を多用した怪しいUDON屋


世界における日本食の定義については様々な意見があると思うが、こういった議題に対しリベラリスト達は、さも開明な博愛主義者の如く上から定義付けるべきではないと宣巻く。
やれ「各国民の好みに味付けかしてあるのだから、日本人が他国民の好みに文句を言うべきではない。」だの「日本のラーメンやカレーは良いのか?」だのと。


だが少し考えて欲しい。リベラリスト達の基本概念にあるものが何かを。
彼らの言動の背景には、知っている外国人の手前や影響もあるだろうし、自身が外国系との理由もあるかもしれない。もしくは、外国人と日本人の違いを全く理解しておらず、外国人であれ日本人であれ、思想概念に違いは無いと思っているのかもしれない。
前者は偽善者もしくは、えこひいき者の戯言として片付けられるが、問題は後者だ。彼らは、日本人と同じように外国人の料理人も客も食に対する拘りを持っており、外国の日本料理が変なのは、ただ単に味の好みが違うだけだと捉えている。
だがドイツ一国を例に出すだけでも、その考えは正しくない。


残念ながら多くのドイツ人は日本人と比べると食に対する拘りがない。一般的ドイツ人は台所が汚れるとの理由で、日本人のように込み入った料理は作らない。よって多くの家庭ではパスタやポテトと肉が主食になる。味付けも至ってシンプルで、塩・コショウ・マヨネーズ・ケチャップが殆どだ。
その影響は外食の味にも現れている。日本人の食に対するこだわりは世界でも類稀な高寿命としても現れているが、対照的に幼少の時から前述した料理しか食べて(作って)こなかったドイツ人が、果たして日本料理のような繊細な味を作り出すことが簡単に出来るだろうか?実際には、ドイツ人が日本人と同じように絶妙な味を作り出すのは非常に難しい。
味噌汁は微妙な味付けバランスが重要だ。にも拘わらず、多くのドイツ人は、塩辛いだけの味噌汁や味の無い味噌汁を本物の味噌汁だと思っている。だが、そんな彼らも日本人が作る味噌汁を味わうと、とてつもなく美味しい味噌汁だと驚愕感歎する。
要は万国共通、旨いものは旨いとの事だ。果たして、日本国内のリベラリスト達はこういった諸事情を介意しているのであろうか。


日本食は、舌の肥えた日本国民による技術の結晶とも言える。あらゆる面で激しい競争と拘りのある日本社会は技術力や文化力だけではなく、グルメにおいても世界一競争力があり進んでいると言っても過言ではない(土日営業や深夜営業は海外では稀であり、一人当たりの外食店舗数も回数もバリエーションも日本は抜きん出ている。)。
醤油やヘルシーな自然食材を使ったヌーベル・キュイジーヌ(新フランス料理)や、日本統治時に発展した台湾や満州や大連の中華料理は日本料理の影響を多大に受けており、世界三大料理の国々においても日本料理の氾濫は留まるところを知らない。
ラーメンは日本国内で進化したが、中国に元来ラーメン屋は無い。日本国内のラーメン屋は、今も厳しい競争社会で戦っているからこそ、中国のラーメンよりも旨い。今や、日本のラーメンは世界でも中華料理とは別の存在として認められつつある。ラーメン屋はラーメン屋であり、中華料理店ではない。
同じく、カレー屋にしてもインド料理店ではない。他では、創作和風料理という新しいジャンルが日本でも広まっているが、創作との名を冠しており、何よりも美味しい。だから海外の寿司屋も放任で良いのかといえば、そうとは言えない。
前述したように諸外国は日本と同じ競争の激しい外食産業はないし、食に対するこだわりが薄いからだ。
少なくとも私は、パサパサの酢と塩だけの飯と、解凍しただけの何ヶ月前の物かも分からないネタを組み合わせた食中毒の危険性のある寿司と、味噌とお湯だけのスープを外国人にご馳走することは出来ないし、旨くもない似非日本料理を無理に食わされる相手の顔も見たく無いし、それを本物の日本料理だと誤解されたくもない。


さて、リベラリストはいつからアナーキストになったのであろうか。
フランス国内における日本料理店経営者は中国人や韓国人が殆どだが、日本料理の繊細な味は彼らにも難しいようだ(余談だが、韓国の焼肉が日本より美味しくなかったとの事や、中国にも拘わらず中華料理のバリエーションが日本より乏しかった等の逸話は多い。)。そして、彼らの生食に対する衛生概念は日本人に遠く及ばない。手を洗わないで作った寄生虫入りキムチを売り込む韓国人や、食材に必ず熱や火を通し生食を口にしてこなかった中国人には、生食衛生管理の伝統が無い。
日本より低いとはいえ、フランスはドイツより食に対する拘りがあり、フランス料理アカデミーという世界的な団体も存在する。世界三大料理をも凌駕しつつある日本料理が、農林水産省による海外日本食レストラン認証有識者会議や、JETROによる日本食レストラン推奨制度を導入するのは至極当然な流れだろう。
今回の日本食認定制度は、正しい技術の伝承につながり、海外への開発援助や技術援助にも通じる。多くの外国人が本物の日本食を食べ感激し、日本食の更なる進化発展を促すのであれば、それが一番だろう。


テストの無い学校で、果たして学力が向上するのであろうか、判断できるのであろうか?


ちなみに、フランス料理アカデミーの活動目的は以下となっている。

1. フランス料理の芸術性を探求し完成させる。
2. 会員及び会員以外の作品を世に知らしめる。
3. 常にプレステージを守り、100年に渡るアカデミーの基本である普遍的、世界的なフランス料理の評価をより多くの人々に知らしめる。
4. フランス料理の名を騙った偽物を排除する。
5. 時代に応じ料理を改良していく。
6. アカデミーに承認された料理は料理年鑑に記載する。
7. アカデミーと同じ趣旨を持つ、フランス及び海外の料理協会と友好関係を結び、それらが主催するガストロノミー等の催し物に積極的に参加する。

“4.フランス料理の名を騙った偽物を排除する。”いやはや、日本のリベラリスト達はどう反論するのであろうか。
去年、フランス衛生省が「食べると人体に悪影響を与える食料」のリストにキムチを追加し、この発表と同時に韓国からのキムチ輸入を全面的に禁止した。中毒性が高く、脳細胞にダメージを与えるとされるカプサイシンを多く含んでいるとの理由からだ。生食材を多用する日本食が食中毒の危険がある食品に認定されないように、日本の農林水産省JETROにはより一層、活躍してもらいたい。


世界にはばたく醤油:大野醤油醸造協業組合

●日本生まれの国際派スター
醤油はいまや世界の味。近年では80ヶ国以上に輸出され、醤油を使った照り焼は“Teriyaki”としてウェブスター辞典の項目の一つになっています。なかでも大戦後に占領軍が醤油に親しんで普及の素地が固まったとされるアメリカでは、ここ数十年ですっかり定着。ほとんどのレストランのメニューに照り焼のステーキやハンバーガーが見られ、ウィスコンシン州には日本企業の醤油工場もあります。またフランス料理の“ヌーベル・キュイジーヌ”の動きとともに、近年ヨーロッパでも醤油は盛んに使われるようになっています。


<日本食>正統派選ぶ試み始まる 50店ネットで公表 パリ1月18日10時51分配信 毎日新聞

【パリ福井聡】「日本食レストラン」を名乗る店が600店にも上るパリで、正統派の日本料理店を選ぶ試みが16日、始まった。日仏の料理関係者やジャーナリストでつくる「日本食レストラン価値向上委員会」(委員長、アラン・コアン仏財団事務局長)が第一弾として同日、ネット上で50店を公表した。新たに発行するガイドブックでも紹介する。
 同委員会が同日公表したのは、パリ市内の41店と地方の9店。複数の覆面委員が店を訪れ、▽日本的な店舗や雰囲気▽日本料理の有資格者の有無▽メニューに日本食としての質や多様性があるか▽米やしょうゆ、酒が日本製か、それと同等の品質か――など18項目に及ぶ基準を点数化し、50点満点で7割以上取得した料理店を「日本食レストラン」として推奨した。
 同委員会はこの制度について「フランスの一般消費者に正統な日本食を提供する店の道しるべを提供し、日本食や日本文化の認知の向上や浸透を図る。日本食の料理人にチャレンジする機会を提供し、日本からの食材の輸出振興にも寄与したい」としている。
 日本食を巡っては「正統派でなくてもいい」「食の好みを選別は出来ない」の声もある。輸出振興促進の立場から同制度を支援する日本貿易振興会(ジェトロ)パリ事務所は「リストは店の良しあしではなく、あくまで日本料理店としての基準。日本人の間でも日本食にこだわる人と寛容な人とでは受け取り方が異なるが、中には中華料理店を急きょ改造したような店もあるため、一応の目安となる」としている。
 同委員会は今後も「日本食レストラン」を推奨していく。同委員会のホームページは「http://www.cecj.fr」。


ドイツとメランコリー「日本食の伝播力と、それを阻害するもの」