ドイツにおけるドイツ車と日本車の立場

mensch2007-05-22



ドイツにおける日本車の立場を語るにあたり、日本におけるドイツ車の地位と違い“低い”と言う日本人がいるが、実際には正しい判断とは言えない。現実にドイツ国内における顧客満足度調査では日本車がトップ5を独占している。
では何故、そう思うのか。それは単純に、価格差で判断している事も多いだろう。確かに、ドイツ車はドイツにおいても日本においても、日本車より高い。だが、これを持ってドイツ車が日本車よりもブランド力があると早計してはならない。
ドイツ国内では、企業の意図的な価格設定と税率によって、ドイツ車が他欧州地域よりも高く価格設定してある。故に、ドイツではドイツ車が一番高く、それ以外の日本車や他欧州車の価格帯は総じて均一で、ドイツ車よりも安い(趣味嗜好的な超高級車のロールスロイスアストンマーチンフェラーリ、ポルシェ等や、廉価な韓国車を除く)。これらはドイツ人も当然の如く知っており、隣国へ行ってドイツ車を購入する人も存在する。
それにも拘わらず何故、ドイツでドイツ車が人気なのか。
これは偏に“ドイツ人の誇り”に他ならない。ドイツ人は自分達が作った物を殊のほか愛し、仮に同じ性能の製品が有った場合は、他国の製品よりも自国の製品を選ぶ。
故にドイツでは、ごみ収集車やバスやトラックでもメルセデス・ベンツが多い。
日本の軽自動車よりも小さい二人乗りのドイツ車“スマート”も、ドイツの至る所で目にする。
日本におけるドイツ車は高級部門が殆どだが、ドイツにおけるドイツ車の地位は日本における日本車とそれほど違いは無い。


面白い例がある。よく私はドイツ人に「日本では、どのような車を乗っていたのか?」と聞かれる。そして、彼らの次の言葉は決まって「トヨタか?マツダか?ニッサンか?ホンダか?スバルか?ミツビシか?スズキか?」となる。私が首を横に振り、欧州車メーカーを口に出すと、彼らは一様に驚く。彼らにとって、ドイツ車以上に高性能である日本車を持たない日本人が奇特に写るようだ。
彼らの発想はこうだ。「自国(ドイツ)の製品が高価なのは、ドイツ人が自国製品を愛し誇りを持っている為であり、企業側は高くても売れると思っている。日本も同じように、日本国内では日本車が高くても売れているのだろう」だ。そのような状況だから、日本国内でも他欧州と同じくドイツ車が安いと思っているドイツ人も多い。
ドイツ人の愛国心に近い感情は、愛国心の希薄な日本人には奇異に映るが、世界的に見れば格段珍しくない。ただ、他国は“ドイツのように素晴らしい製品を作れない”だけだ。逆に日本人特有の自虐的思想、謙遜は他国人には全く理解できない。


関税や輸送費を考慮したとしても、無駄に高く価格設定された外国製品を買う日本人は、ドイツ人にとって、さぞかし滑稽に映る事だろう。
舶来信仰の強い日本人も、そろそろ日本製品の素晴らしさに気付くべきではないだろうか。
その代表格であるレクサスが遂に、念願の一千万円台モデルを発表した。
愛国心が無くても、このLS600h/LS600hLは魅力的だ。
日本車には、ドイツ車や数多の外車が敵わない価格競争力、ブランド力、技術力がある。


今、欧州でフォルクスワーゲンが一番高い国 ドイツ

さて、戦後ドイツ復興に一躍を担ったフォルクスワーゲンであるが、欧州では今、新車販売価格が国ごとに大きく異なっていることが、EU欧州委員会の調査(5月1日実施)で明らかになった。フォルクスワーゲンのGolfの場合、最も高いドイツの価格(12,400ユーロ)は、最低のフィンランド(9,500ユーロ)を30.5%上回っており、価格差が目立つのは大衆車である。これに対し、利益率の高いBMWダイムラー・クライスラーなどの高級車メーカーは従来通 り、国ごとの価格差を低く抑えているという。国別に見ると、価格が高いのはドイツ、オーストリア、英国。一方、新車がお買い得な国はスペインとギリシアフィンランドデンマークは課税前価格が安いが、税込みでは割高になる。
 その昔、全地球を網羅するモータリゼーションの大波をおこし、時代を変え国を救い自動車業界の金字塔をうち立てたドイツ車は、21世紀を牽引できるのだろうか?


BMWおたっきーず!読者の声

ドイツの価格は消費税込みで語るのが普通です。
そうなると66650ユーロの19%が消費税ですので本体価格は53986.5ユーロ*160
円として864万円くらいです。そこから日本への輸送費や、日本とドイツのオ
ーバーヘッド分の差などを鑑みて値段設定されるのでしょうね。
その消費税ゆえ、もっと消費税の高いEUでは政策的に本体価格が低く抑えられ
る傾向にあり、それが故にデンマークポーランド(消費税が22%-25%)か
ら”輸入”した方が安い場合があります。
冗談ではないですが、”ドイツ車の新車はドイツで買うのが一番高い”ので
す。

「レクサスの頂に立つ」 トヨタがハイブリッド搭載車

5月18日8時37分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 トヨタ自動車は17日、高級車ブランド「レクサス」の最上級セダン「LS600h/LS600hL」を同日から販売すると発表した。大排気量エンジン、高出力モーター、四輪駆動システムの3つを世界で初めて組み合わせたハイブリッド技術を搭載した点が特徴で、排気量は5000ccながら6000ccクラスに匹敵する動力性能を発揮する。環境や安全、静粛性など多様な側面からみても「従来の高級車の概念を超える」(渡辺捷昭(かつあき)社長)新型車の投入で、欧州製高級車からの乗り換えを狙う。

 搭載する「V型8気筒5000ccエンジン」は394馬力と強力で、加えて電気モーターも224馬力を発生。ハイブリッド機構により最高出力445馬力を発揮する。燃費も3000cc並みの12・2キロメートルを実現。さらに、パワーの利用効率を高め二酸化炭素(CO2)の排出量は6000cc車の半分程度に削減するなど、「走りと環境」の相反する性能を高いレベルで両立させた。価格はLS600hが970万〜1220万円、LS600hLが1330万円と1510万円。日本をはじめ30カ国以上で販売し、07年度約7000台(うち国内4000台)の販売を目指す。


現代自の時価総額、世界自動車メーカー最下位に転落『YONHAP NEWS』2007/05/07


トヨタ、2006年純益1兆6000億円…現代車の8倍『中央日報』2007.04.30


ドイツとメランコリー『日本車の隆盛とドイツ車の衰退』


ドイツとメランコリー『レクサスの強みと、ドイツ車の幻想』