現代ドイツのタブー、ホロコースト再検証

エファ・ヘルマン : dpa



NDRトーク番組における女性キャスターによるヒトラー賛美の波紋は収まらない。彼女の次に、ディレクターが解雇された。
ホロコーストが絶対事実であり、ヒトラーナチスが絶対悪であるから、それを少しでも擁護するものは犯罪者との烙印を押される。
しかしかなら、これを魔女狩り言論弾圧焚書坑儒と呼ばずに何と呼ぶのだろうか。これでは、彼らリベラリストが蔑むナチスと同じ遣り口と言われても仕方ない。
ヒトラーナチスを批判するものが絶対正義だからといって、どんな矛盾でも、どんな行為でも許されるのだろうか。


過激な思想の偏りは、ドイツ人の国民性がナチス時代から何も変わっていないことを示している。ドイツはいつの時代も、“多数意見”が正しい。この流れは、ドイツの集団主義・ORDNUNG(秩序)思想を端的に表している。ナチス時代はナチスが絶対正義で、それに相反するものは絶対悪であったが、現代は逆になっているだけだ。
ドイツが更なる成長をする為には、過激な善悪論を捨て、真の国民性を知る必要ある。ナチスが躍進したのは、国民の支えが有ったからだった。ナチスは革命やテロや内戦で政権を握ったわけではない。ヒトラーよりも先に現れた独裁者ムッソリーニはイタリア敗戦前に失脚し、その後、イタリア民衆により死体は愛人の死体と共にミラノの広場で陵辱された。対照的にドイツ国民はヒトラーと共に首都ベルリンが陥落するまで勇敢に戦った。更には、ヒトラーの死体も確認されていない。これは、両国民性の違いに由来する部分が大きい。


ヒトラーナチスが絶対悪だとしたら、当時の戦勝国も絶対悪であり、現在に生きるドイツ国民も絶対悪だ。この論理で行けば、このように結論つけられるべきだが、そうならない時点で、この理論は既に破綻している。
彼らは、ヒトラーナチスを糾弾することにより自身を正義のスーパーヒーローとしながら、戦勝国の悪行には目を瞑る。これでは、偽善者もしくは戦勝国の代弁者と同じではないだろうか。
彼らの結論はこうだ。ホロコーストは全人類的に許されない悪行であり、戦勝国による悪行もヒトラーナチスを潰す目的だったから仕方が無い。だが、こういった発想では、戦争は永遠に無くならない。
今のドイツ国民が知らなければならない事は何だろうか。
ホロコーストの真実、戦勝国の悪行やプロパガンダナチスの功績等が挙げられる。これらを冷静かつ公平に分析できてこその、世界平和ではないだろうか。


今回の騒動に対し、大衆紙『ビルト』において、ベルリン自由大学のウィッパーマン教授が反論しているが、“恫喝”“過激な表現”“論点のすり替え”“アサヒる(ドイツ語Asahieren)”“証拠の曖昧さ”が日本の極左中韓の人々と同じだ。しかしながら、物事を深く洞察しない人々への説得力は充分あるのだろう。


以下のビルト紙におけるウィッパーマンの反論に対し、矛盾点を挙げてみたい。



エファ・ヘルマンの意見: ヒトラーアウトバーンを作った。現在の我々も利用している。


ウィッパーマンその通りだが、アウトバーンについてはナチス以前にも提案があった。実際には、大量殺戮の為の戦争やユダヤ人を虐殺するための輸送手段として利用されている。


矛盾点:提案よりも実行では?とにかく、ホロコーストに結びつければ悪で、それ以上の反論は聞く耳を持たないようだ。



よくある意見:ヒトラーは家庭を重視し、母親らしさや家族の大切さを保った。


ウィッパーマン人種差別を目的とした政治的な意図しかなく、育児手当や結婚手当等の社会保障は実際には種の保存と、他民族の絶滅の為だけに利用された。


矛盾点:ドイツ民族に対しての政策としては、その通りで、家庭を尊重していた(日本人、チベット人ネイティブアメリカンは当時もドイツ人より敬愛されていた。人種差別政策でいえばアメリカの方が酷い)。



よくある意見:ドイツ人女性はヒトラーを敬愛していた。


ウィッパーマン間違いだ。高学歴の女性は疎外され、女性の地位は貶められ、兵器工場などの労働に駆り出されたから、そのような事は無い。


矛盾点:論点のすり替えヒトラーがどれだけ女性から敬愛されていたか、侮蔑されていたかの割合が不明としても、どの国家でも男性は戦場に行き、残った女性は工場へ駆り出された。



よくある意見:失業者を無くした。


ウィッパーマン正しくない。政敵や同性愛者、ユダヤ人やジプシー達は仕事を持っていたが、それは戦争の為の残虐きわまる強制労働だった。


矛盾点:論点のすり替え。確かに、失業率は驚異的に下がった(強制労働の過酷さは共産国家が勝る)。



よくある意見:経済が良くなった。


ウィッパーマン高が知れている。それは軍備拡張(軍需産業)と戦争の代償に過ぎない。戦争が終われば全てが無に帰す。


矛盾点:アウトバーン建設や自動車会社設立等もあり、軍需産業だけが原因ではない。更には、当時の多くの列強諸国も軍需産業が経済に大きく貢献していた。現在の米国も同じ。



多くの意見:ヒトラーは犯罪を減らした。


ウィッパーマン馬鹿げている。犯罪率は今と同じくらいだ。だが、ホロコーストは政府による想像を絶した犯罪だった。


矛盾点:犯罪率に関しては、どちらも証拠を出していないので結論は出せない。最後は結局、ホロコースト論点のすり替え



よくある意見:当時の人々はユダヤ人への行為を知らなかった。


ウィッパーマン間違いだ。人々は、ダビデの星の強制や、水晶の夜(ナチスによるユダヤ人迫害行為)や、強制収用、兵士が休暇で戻ってきたときの土産話から知っていた。


矛盾点:だとしたら、ヒトラーナチスだけではなく全ドイツ国民に戦争責任がある。



よくある意見:悪いのはナチス党員とSSだけだ。


ウィッパーマン正しくない。彼らだけではなく、国防軍や普通の警察も犯罪行為に関わっていた。


矛盾点:上記結論と同じ。



よくある意見:ヒトラーに反抗するものは居なかった。


ウィッパーマンレジスタンスだけではなく、1944年にヒトラーは将校に殺されそうになった。それは別としても、人々はユダヤ人をかくまっていた。


矛盾点:ここで一転、ドイツ国民を擁護。しかしながら初期は、現在も残る極右組織コンスルが主に反ヒトラーのテロを行っていた。ヒトラーを暗殺しようとしたナチス党員は、血と暴力によって権力を奪おうとしたに過ぎない。



エファ・ヘルマンの意見:危険なリスク無しに、私たちは歴史を語ることが出来ない。


ウィッパーマン全くの間違い。それは、ホロコーストという明確な犯罪を否定する行為に過ぎない。


矛盾点:とにかく“ホロコースト=絶対事実”が結論であれば、それ以上の論議は必要が無いようだ。それは言論弾圧ともいえる。



私は、無条件にヒトラーナチスを賞賛するものは許さない。それと同じく無条件にヒトラーナチスを批判するものも許さない。
歴史とは道徳授業ではない。事実を感情抜きで語ってこその歴史ではないだろうか。


Grose Diskussion nach dem Rauswurf von Eva Herman bei Kerner - Bild.