ドイツにおける女権確立と家庭崩壊

ガブリエレ・パウリ議員  ロイター



ドイツは女性の天下だ。
多くのドイツ人女性は強く逞しく、優しいだけのドイツ人男性に頼る必要を感じていない。
ドイツの異常な高離婚率・高齢結婚・高同棲率は、男女関係が如何にドライであるか女権確立が究極まで進んでいるかを如実に顕している。
確かにドイツは日本よりも人間的な生活を送れるが、男女関係においては人間味を通り越して野生的ともいえる。彼らは、男女関係が冷めれば(飽きれば)、アッサリと離婚する。
これは、盛りの時期にだけ色々な異性を求める動物と、どう違うのだろうか。
昨今の日本でも「できちゃった結婚」や「同棲」が市民権を得ているが、その先に待ち構えるものは何か。
家族など必要ない。子供は生むが子育ては共同施設に任せて、男女共々愛が冷めれば簡単に別れ、自分だけの楽しい生活をエンジョイする。果たして、それらは本当の理想郷なのだろうか。


女権確立も悪くは無いが夫婦生活とは、そもそもが男女という全く異質な存在が共に暮らす非常に困難な行為であり、意見の食い違いがあって当然ともいえる。
更には、夫婦関係と恋愛は違う。恋愛感情が冷めたから夫婦関係も解消したいとの発想を持っていたら、夫婦生活など営めない。男性を必要としなくなった強い女性にとって、そのような生活は耐えられないだろう。


ドイツでは、別居1年で如何なる理由があろうとも離婚可能だ。その間に、相手が浮気しようが、別居していれば勝訴は難しい。自身が浮気していたとしても、夫に年金や資産などの権利を要求する女性も多い。
最近では、女性のガブリエレ・パウリ議員が、結婚を7年満期にするとの選挙公約を掲げた。


タマゴが先か鶏が先かではないが、ドイツにおける離婚率の高さ、男女関係における不貞の多さは制度による影響も非常に大きい。


ドイツの結婚制度は崩壊の一途を辿っている。結婚生活すらも軽視する今のドイツは理想といえるのだろうか。
古きよき家族を軽視するドイツ、家族の連帯よりも女性や妻の自立を重視するドイツ。
確かに、虐げられている女性もいるだろう。自由を求める女性も多いだろう。結婚制度の存在自体に、疑問を感じることも多いと思う。
しかしながら、そこには、自身以外の存在への配慮があるのだろうか。
結婚とは、夫婦生活とは、一人だけのものではない。


では何故、ドイツでこれ程までに女権が確立されたのだろうか。
これには、戦前のナチスによる家族尊重、女性らしさ男性らしさ確立への反動が大きい。
ナチスは絶対悪なのだから、ナチスと対照的なものが必然的に絶対善となる。
現代ドイツのアメリカ主導による個人主義、女権確立。ナチスドイツの集団主義、家族重視。
果たして、どちらがドイツ国民に合っているのだろうか。


ドイツの政治家、結婚7年満期を提案

[ベルリン 20日 ロイター] 2度の離婚歴のあるドイツのガブリエレ・パウリ議員(50)が19日、記者会見で選挙公約を発表し、婚姻期間を7年間と定めるよう提案した。これによると、期間満了後は夫婦の合意で延長され、そうでない場合は自動的に関係が消滅するという。

 この政治家は、ドイツのメルケル首相が党首を務める保守的なキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党でバイエルン州を支持基盤とするキリスト教社会同盟(CSU)の党首選に立候補。投票は来週行われる。

 同議員は伝統的な家族観の普及を促進しているCDUを批判。「基本的なアプローチが間違っており、多くの結婚はただ安心感を手放さないために続いている」と述べた。


花形アナ、「ナチス称賛」で契約解除=家族政策めぐる発言に批判噴出−独 2007年9月11日(火)07:55

 【ベルリン10日時事】ドイツ公共放送、北ドイツ放送(NDR)の花形女性アナウンサーがこのほど、ナチス政策の称賛とも受け取れる発言で批判を受け、契約を解除される事態に発展した。

 エファ・ヘルマンさん(48)は公共テレビの人気ニュース番組「ターゲスシャウ」のキャスターを長年務めたほか、自分の名前を冠したトークショーや歌番組の司会、作家活動など幅広く活躍している。

 ところが、最新著作の宣伝に絡んで、「ナチス時代でも家族や子供、母親の存在といった価値が奨励された」とし、「これは良かったが、学生運動世代がこれを崩壊させてしまった」などと発言したと報じられた。

 これに対し、「ナチスの家族政策は人間軽視だった。ヘルマンさんは本を書くのではなく、ナチスに関する本を読むべきだ」(独紙)など批判が噴出。NDRは9日、「ヘルマンさんの執筆活動は、キャスターとしての役割ともはや両立しない」と契約の即時解除という厳しい処分を発表した。 

[時事通信社]


二人の対照的な女性。方や賞賛、方や非難。ドイツの過剰な善悪論は何を生んだのだろう。