とてつもない麻生首相

関口聡 朝日新聞



今回の世界同時経済危機を鑑みるにあたり、日本はやはり守られているのではないかと思ってしまう。日本は、運と実力を兼ね備えた類まれなる国ではないだろうか。
大東亜戦争で負けた日本が世界第二位の経済大国となったのも、実力だけでも運だけでも成し得なかった。
そして現在、一足先にバブル崩壊を経験し、構造改革と経済の健全化を推し進めた日本は、世界バブル崩壊の今、世界一の体力を兼ね備えた国となった。


それは経済面だけではなく、政治も同じくだろう。
福田前首相の唐突な辞任劇で、日本は崩壊の一歩手前で助かった。
売国路線の福田氏と一線を画していた麻生氏が内閣改造時において幹事長に就任したのは、長期戦の構えがあったからだ。更には、弱小派閥であった麻生派が譲歩路線に変更した結果だったが、譲歩先には公明党も含まれていただろう。これには大きな危険も孕んでいた。
仮に福田前首相が辞任せず総選挙まで続いた場合、無為無策な福田前首相は与党の信頼を今まで以上に落としていただろう。その場合は、与党として政権維持させたい自民の発言力は極限まで下がり、相対的に組織票がある公明党の発言力が更に強まる。流石の麻生氏も、自身の政治生命を守るのに手一杯で、売国路線を止めることは出来なかっただろう。
しかし、公明党としては次回の総選挙で自公が過半数を超えなければ、民主党に鞍替えすれば良いだけだった。組織票が欲しい民主党としても、公明党との連立を拒むのは難しい。


とは言え、公明党の組織票が実際にどの程度の影響力があるかは不明だ。外国でカルト認定されている創価学会を支持母体に持つ公明党であるから、反創価学会や被害者の票を考慮した場合、むしろ、そちらの影響力の方が有るようにも思える。
昨今の自民党における売国路線も、売国政党である公明党と連立し感化した故だが、これによって従来の自民党支持者が民主党に流れた可能性も高い。


野党やマスコミは、どうしても年内に総選挙を行わせたくて仕方がない。公明党にしても、早期の総選挙により更なる影響力拡大を願うのは当然に思える。だが、麻生首相には、その様な気は毛頭ない。つまり解散権を行使する事はない。
麻生首相は総選挙を先へ延ばし支持率を上げ、安定政権化させるのが狙いだろう。
では、麻生首相はどのような政策を遂行するのだろうか。


安倍元首相の様に性急な改革を断行した場合、既得権益者や売国議員に叩かれるのは目に見えている。
かといって福田前首相の様に既得権益者に媚びてばかりいては、国民に叩かれる。
故に、彼の政策は自ずと定まってくる。
一番考えられる路線としては、経済政策の優先だろう。世界同時危機とはいえ、日本の経済面における体力は凄まじい。今の日本経済は、政治力が介入しなくても独自で回復する能力はある。
しかし、マスコミが不安を煽るのも目に見えている。
国のトップとして、これだけ好条件にいる人物は麻生首相くらいだ。だから彼は経済政策を断行しているとアピール(見せかける)するだけでよい。


次に重要なのは外交政策だが対韓国以外では、あまり目新しい進展は無いだろう。
アイスランドと同じく危機的経済状況の韓国に対しては、竹島近海を海洋調査するだけで良い。それだけでも韓国民は激高する。韓国における反日活動の異常さが国民に知れてはならないと、日本のマスコミもあえて喧伝しない。韓国の反日感情は最高潮となり、韓国政府としても日本に経済援助を求める事が出来なくなる。これによって、日本国民の血税は確実に守られる。


対中に関しては、日本側のどんな主張も親中マスコミは芳しくない行為として捉えるので、日本政府からアクションを起すことは殆どないだろう。故に、歴史問題やチベット問題や台湾問題が騒がれるのは総選挙後と思われる。
しかし、中国がアクションを起してきた場合は別か。一連の食品問題では、中国に非があるのは間違いない。そういった状況下では日本政府は躊躇無く抗議するだろう。日本国民に対しても示しが付くし、歴史問題*1が絡まない場合、中国にはカードが無い。
相手国の不条理な要求に関して断固として反対するとの立場は対中だけではなく、対米・対露、あらゆる国に対しても同じだ。


今後、各国から日本へ援助を求める声が出てくるだろうが、自虐報道に洗脳された日本国民は許さない。
麻生首相は民意に沿って日本の国内経済再建が最優先であり、他国を援助できる場合ではないとの口実で拒否する事が出来る。場合によっては内政干渉まがいの自助努力を他国に求める場面もあるだろう。しかし、流石の売国マスコミも日本の経済不安を煽っている矢先、麻生首相を批判する事は不可能だ。
これにより国益を保護でき、国民の支持も得られる。更には、深刻な世界経済を口実に、消費税値上げによる財政健全化も可能だが、これは総選挙後でも遅くはない。
福田首相であれば有無を言わさず相手国の言いなりであったが、麻生首相のNOと言える外交は功を奏す。外交面における日本政府からの提案は殆ど無いだろうが、今は触らぬ神に祟りなし。守りの外交に専念するのが得策だろう。


とんでもない政策さえしなければ、国内経済は維持出来て、外交も滞りなく進む。
麻生首相は満を持して来るべき総選挙に挑み、本領発揮はその後だろう。
とてつもない日本。そして、とてつもない麻生首相に期待したい。


I LOVE JAPAN [ 麻生太郎応援歌 ]

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)

格差社会少子化、教育崩壊…。メディアでは暗い話ばかりが喧伝されるが、日本は本当にそんなに「駄目な国」なのだろうか。戦後、一度も戦争をせず、努力の末、経済的繁栄を実現した。トヨタソニー、カラオケ、マンガは言うまでもないが、日本人が考えている以上に日本は評価され、期待もされている。悲観していても何も始まらない。「日本の底力」をもう一度見つめ直し、未来を考えるための一冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)

第1章 アジアの実践的先駆者/第2章 日本の底力/第3章 高齢化を讃える/第4章 「格差感」に騙されてないか/第5章 地方は生き返る/第6章 外交の見取り図/第7章 新たなアジア主義―麻生ドクトリン

【著者情報】(「BOOK」データベースより)

麻生太郎(アソウタロウ)
1940(昭和15)年生まれ。外務大臣学習院大学政経学部卒業。麻生セメント社長、日本青年会議所会頭を経て、79年衆議院議員に初当選。以降当選九回。自民党政調会長総務大臣などを歴任。モントリオール五輪クレー射撃日本代表として出場。祖父は吉田茂元首相(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

*1:自虐史観に染まった日本人が多い現状では、歴史問題は中国のカードになっている