夏への貯金


先月は寒波が襲ったが、今月になってドイツにもやっと春の兆しが顕れてきた。
相変わらず愚図ついた天気ではあるが、今月は一度も雪が降っていない。晴れた日は18時になってもまだ明るい。
然れども、本格的な春はイースターまで待たなければならない。春分後の最初の満月後の日曜日がイースターとなるが、今年は4月12日。その前には夏時間(今年は3月29日)も待っている。


冬、ドイツの日曜は営業している店も少ないため人も疎らで閑散としている。日本と同じくウィンタースポーツはあるが一般的には普及しておらず、クリスマスや新年位しか活気付く日はない。
そんなドイツも、イースターを過ぎる頃から様相が変わってくる。暖かくなるだけではなく晴れ間も多くなり、冬の間ずっと家に閉じこもっていた人々が一斉に外へ出て、散歩や読書や昼寝など各々が太陽の下で時を楽しむようになる。


ドイツの四季は夏と冬だけといわれるが、人々の心にも当て嵌まる。テレンバッハ医師の著書「メランコリー」を持ち出すまでもなく、ドイツの冬を欝と結び付けがちだが、そうなると冬の存在理由はマイナスなだけになってしまう。人の心に対しても百害有って一利なしに思えてくる。


しかし、冬の悪天候も寒さも夏への貯金と思うと、精神衛生上良いし耐え忍ぶことが出来るようになる。今年の貯金は、どの程度だったのだろうか。もうすぐ、金利が付いて戻ってくる。