円高


日本のマスコミは、鳩山首相や小沢氏の不正献金問題で揺れる民主党や、外国人参政権問題に関しては何故か楽観的だが、基本的に悲観的な為、最近は円高をもとに日本経済の将来を杞憂している。


円高報道を見る度に思うのだが、デメリットだけ叫ぶのは如何なものだろうか。
日本は資源国ではない。石油もだが、原材料が安くなれば仕入れや生産コストも下がる。輸入品が下がれば、個人消費も伸びる。国内資産は上がり、海外企業の買収も容易になる。
円安にしても同じくだが、二元論で判断するのは安直過ぎる。


最も、毎度の事ながら円高報道は対ドルであり、他通貨は対象外になっている。
しかしながら、数十年前と同様に日本企業はアメリカだけを頼りにしているのだろうか。円高報道の時だけ、中国を蚊帳の外に置くのは可笑しい。中国経済にしても不安定要素ばかりだが、だからこそ米中以外の世界各国に目を向けるべき時ではないだろうか。


<円高>明暗くっきり 鼻息荒いブランド店、消沈する業界も  毎日新聞 11月28日


東京外為:円独歩高の展開 ドバイ不安でユーロも売られる 毎日新聞 11月27日


ECB: Euro exchange rates JPY


日本マスコミは円が独歩高していると言いたいようだが、実際には違う。対ユーロでみるならば、未だにユーロ高だ。
1月23日では1EUR=113.65円だったが、11月27日現在は1EUR=129.29円とむしろ一時期よりも上げは止まっている。去年の金融危機以降、円は対ユーロで値上がりしているが、今に始まった訳ではない。
ユーロは1999年1月から帳簿上の取引に導入された(一般導入は2002年)が、2000年10月26日には1EUR=89.30円の最高値を記録したことがある。来週月曜以降、更に円高になったとしても、過去最高値までは届かないだろう。
故に、海外ブランドの中心である欧州輸入品の買い時は今ではなく、ユーロ一般導入時の2002年または今年であれば1月との解釈が正しい。
アメリカ以外とのドル取引も多いのだろうが、もしくは、アメ車や米国産牛肉が買いとでも言いたいのだろうか(笑)。


今回の対ドル円高は、25日にドバイ政府係不動産開発会社ドバイ・ワールドが債務支払い猶予を申請したのが発端。中東に莫大な投資をしていた欧米金融機関に対する不安ゆえだが、良く捉えるのであれば、世界の投資家が日本円や日本経済の健全性を認めた結果ともいえる。
確かに、日系企業もドバイに投資していたが、最高でも数百億円程度の投資に過ぎない。対する欧米は欧州金融機関エクスポージャーの400億ドル(約3兆4000億円)を筆頭に日系企業とは桁が違う。


ドバイ投資も中国投資も同じだが、投資すればするほど冷静な考えが出来なくなり楽観的になり逃げ時を失してしまう人が多い。
そもそも、去年の金融危機でドバイのバブルは既に崩壊していた。それ以降もドバイ経済は健全だとして投資を煽っていた人は自分の損失を補いたかっただけかもしれないが、騙された人もいたのかもしれない。
ドバイ投資家達は、ドバイ経済の健全さを、「町には活気があり、1年前と同じだ」との理由で説明しようとしているが、内乱や飢饉にでもならないと崩壊が実感できないのだろうか。
バブル崩壊後の日本にしても、金融危機後のアメリカにしても「町には活気があり、1年前と同じだ」った筈だ。
そもそも、砂漠の真ん中にあり人口50万人程度で石油資源しかない国家に対し、どれだけの成長を期待できるのだろうか。もともと何も無かったのだから成長して当たり前であり、一定の成長を遂げた後の停滞は誰でも予想できる。小国ゆえに成長も早いが、停滞期も直ぐにやってくる。
韓国企業のサムソン物産が建設を手がけ、世界一の高さを目指している高層ビル・ブルジュ・ドバイの企画もドバイ政府係不動産開発会社だが、果たしてこのまま建設を続けられるのだろうか。


今回のドバイ危機からも分かるが、世界各国が青息吐息の中、日本が今まで持ちこたえてきたのは前政権の経済政策の余波があったからだ。前政権の経済政策を悉く無下にして、滅茶苦茶な経済政策を進めている鳩山民主党だが、このままでは日本経済も世界各国と同様に失速してしまう。案の定、最も買いだった日本の株価は低迷を続けている。


鳩山民主党補正予算の3兆円を凍結させ、来年度の公共事業予算も削減するという。
科学技術予算見直しに至っては狂っているとしか思えない。日本が誇るものは何なのか、民主党は分かっていて削減しようとしているのだろうか。


円高で日本経済の危機を叫ぶよりも今は、更に危険な鳩山民主党による経済政策を批判する方が先決ではないだろうか。


「ドバイ崩壊」報道に物申す 経済は活気を失ってはいない 2009年02月14日 MONEYZINE

ドバイ経済が崩壊したという報道もされていますが、海外大手報道番組の記者によれば、「中東は世界経済危機の影響をあまり受けていない」という認識が一般的であり、バブル崩壊報道後もドバイの街並みは1年前と変わりません。
(以下略)