Gratt!!


THE MARSHALL CAVENDISH:ENCYCLOPEDIA OF WORLD WARII VOLUME 5
ロシア侵攻時に雪泥に嵌ったPzkw3(ドイツ軍の戦車)

最近は極端に寒くなることはないが、最高気温は毎日氷点下。ドイツの冬は、日本で例えるならば京都や甲府のような盆地に似た寒さだが、今年は一気に北陸か北海道に行ったような気候が続いている。


連日の寒さで道路や歩道がアイスバーンになっているだけならまだいいが、除雪車の影響で道路はかなり傷んでおり、雪やアイスバーンだけならず道路の穴やヒビにも足や車輪を取られることもあり危険極まりない。
30年ぶりの厳冬の為か、今冬よく耳にする言葉として「Gratt」があげられる。意味は「つるつる」。ここ何年かの冬では「Gratt」との表現はあまり使われてる事は無かったが、今冬は挨拶代わりに近い頻度。
今冬の流行語は「globale Erwärmung 」 「Treibhauseffect 」(温暖化、温室効果)よりも「Gratt」なのは間違いない。
数十年ぶりかに「Gratt」との表現を堪能しているドイツ人だが、転んで骨折する老人が増えているとの事で、心なしか町の人手も少ない。


しかしながら、寒さに強いはずのドイツ人の意外な面も目にして興味深い。
第二次世界大戦時、モスクワに侵攻したドイツ軍はナポレオン軍と同様に冬将軍に負けたが、同じような光景が現代ドイツでも再現されている。


主要道路から外れた道路には雪が凍ってできた車の轍が作られ、レール式レーシングカーゲームの装い。酷い轍の場合は、ハンドルを動かしても轍から外れられない。故に、対向車が来た場合は轍に沿って主要道路まで後退しなければならない。
中にはいつもの調子で、轍から無理やりハンドルを切ったはよいがスタックし道を塞いでしまっている車も多々見受けられる。駐車場からも出れない車もあり、大のドイツ人が数人で車を押しても動かない様子を見ていると、ロシアの冬将軍に悪戦苦闘しているドイツ兵をダブらせてしまう。
普段は冷静なドイツ人達にとっても、連日の寒さは予想外の状況と思われる。


厳冬でもアイスが普通に販売されているロシアでは、アイスを弁当代わりに買っている人が多い。確かに、保存食としては一級か。勿論、ロシアと違い冬にアイスを買うドイツ人は殆どおらず、寒さや雪に対しては、ロシア人の方がやはり強いようだ。


今冬は、融氷雪用の塩を販売しているガーデンショップは嬉しい悲鳴を上げていそうだが、経済的な損失は計り知れないように思える。
ドイツの景気回復はまだまだ先か・・・。


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