世界最高の国?

冬のストックホルム


世界最高の国ランキング、日本は9位、中国は59位―米誌 2010年8月19日 レコードチャイナ

2010年8月16日、米誌ニューズウィークが選んだ「世界最高の国」(The World’s Best Countries)ランキングによると、中国は100か国中59位だった。環球時報が伝えた。


同誌は「教育」「健康」「生活の質」「経済競争力」「政治環境」の5方面を採点し、ランク付けを行った。トップ3はフィンランド、スイス、スウェーデン。アジアの最高は日本の9位で、韓国が15位、中国は59位だった。米国はトップ10を逃し、11位にとどまった。 (以下略)


Interactive Infographic of the World's Best Countries - Newsweek


欧米人は何かとランク付けが好きだが、中国人も好きなようで頻繁に報道する。
独断と偏見に基づくランクングに一喜一憂してもしかたがないとも思うし、日本と中国・韓国の違いも分からないような欧米人に評価されたくないとも思うが、気にはなる。



世界最高の国との表現は曖昧極まりないし、日本人からすると嫌悪感しか感じない。同調査の内容を見る限り、世界最高の国というよりは、世界一住みよい国と表現したほうが分かりやすいのかもしれない。


一位はフィンランド、以下スイス、スウェーデン、オーストラリア、ルクセンブルクノルウェー、カナダ、オランダと続き日本は9位だが、人口の多い国家の中では日本は一位となる。韓国は15位とのことだが、日韓併合や漢江の奇跡に代表されるように日本による莫大な投資や援助がなければ中国やロシアの属国もしくは属領として、宗主国以下のランクになっていただろう。


5方面で採点しているが、何れも百科事典並みのアバウトな調査結果を基にしている。教育に関しては識字率と就学年数、健康に関しては平均寿命のみで算出しているが、一人当たりの医者・病棟数や学力は含まれていない。
生活の質に関してはジニ指数、男女格差、住宅費、個人消費、殺人率、失業率と細かく算出してはいるが、物価指数やインフレ率、所得格差等は含まれていない。


一部の統計だけでみると確かに北欧諸国は秀でている。名称だけの社会主義国家であった(ある)ソビエトや中国と違い公平な教育を受けている勤勉な国民のお陰もあり、北欧諸国は理想的社会主義国家ともいえる。
しかし、北欧が誇る高福祉は国民の負担も大きい。スウェーデンでは消費税が25%もあり結果として高物価であり、更には給料の六割以上が税金として引かれ、場合によっては副業が無いと生活できない。
高福祉は良いことばかりではない。


多田葉子 スウェーデンハンドブック 早稲田大学出版部 2004 140頁 税金制度と財政―福祉国家を支える税制制度

(抜粋)
スウェーデン、EU諸国平均、OECD諸国平均のGNPに対する税収入の比率 (2001年)
EU諸国は41.6%
OECD諸国は37.4%
スウェーデンは48%〜53%(1980年代以降)
税金の額が、他国より多いことがわかる。


スウェーデンの税収入は直接税、間接税、社会保険料に分類できる。
直接税には、所得に課される税金と資本収入に課される税がある。
間接税には、財やサービスに課せられる税金で、アルコールやタバコなどの物品税がある。
社会保険料には、年金保険や医療保険、育児休暇中の両親保険、失業保険などの保険料がある。


個人の所得に対しての税負担については、一人の被雇用者の雇用費用の58%が税や社会保険料となっている。 対GDP比では、13.3%に及び、突出している。 給料のうちの約6割が税金としてとられているのだ。


現在のスウェーデンの一般間接税は25%である。
食料品などの生活必需品については、12%になっている。


社会保険料以外に企業に課される税金には、企業税がある。 法人の利益に対して課され、法人に対する国民所得税である。
1995年以降、企業税の税率は28%である。 OECD諸国との比較では、突出して高いわけではない。


歴史的にみると、GDPに占める総税収入の割合は、 1900年には7.5%
1950年には21%
2000年には50%強
福祉国家へと変貌していく過程で、負担は徐々に増加している。


戦後の1960年の年金改革に伴い、社会保険料は、雇用者の支払う保険料・自営業者の支払う保険料・国からの補助金で運営されることになった。 60年代から70年代にかけて、社会保険料率は徐々に引き上げられた。
福祉政策は、住民に身近なサービスは地方自治体、コミューン(基礎自治体)が責務を負うことで発展した。 地方税は住民サービスを充実してものにするための重要な要素である。 地方所得税率は所得に対して一定の率が課され、各自治体が税率を決定する。
地方税率は
1950年では12%
1960年では15%
1970年では21%
所得の2割が地方の福祉政策に回される。 充実した福祉があり、体感できるからこそ、このように高い税金を国民が支払うのだ。


ちなみに1971年には今までの夫婦合算税方式が、個別課税方式へと切り替わった。 このことにより、女性の労働市場参加が高まった。


1970年代を通じて、税負担は上昇した。 税および社会保険料GDP比は
1970年に40%
1977年に53%
1980年に50%
1980年以降は上昇傾向が抑えられ、50〜55%を推移する。


高い税金は人口小国だから可能でもある。人口大国では反対勢力も強く、結果として強権を行使する必要があるが、民主主義である日本には不可能なのも事実。民主主義に則って1億人を納得させるよりも、500万人を納得させるほうが簡単なのは、国家運営と地方行政の違いを見ても明らかだ。


北欧諸国へは度々行く。夏は海が近く自然も多く最高に思えるが、冬は底冷えし雨と雪と曇りの日ばかり、更には日照時間も短く最悪といえる。結果、冬に欝になる人々も多い。日本の蒸し暑い夏は体には大変ながら、精神衛生上耐えられないとのことはない。


イメージから北欧諸国は犯罪が少ないように思えるが、実際には日本は勿論ながら南欧諸国よりも犯罪発生率が高く、日本人観光客も度々被害にあっている。更に、スウェーデンは欧州で一番、レイプ犯罪が多い国でもある。


【EU発!Breaking News】独、仏の20倍!欧州で最もレイプ犯罪率の高い国(スウェーデン)


図録▽犯罪率の国際比較(OECD諸国)


バリアフリー化はどうだろう。北欧のバスや電車は日本よりも車内スペースが広く車椅子やベビーカーをそのままの状態で乗り降りができるが、建物に関しては日本ほど進んでいない。公共の建物や商店でも自動ドアは殆ど無い。全盲者用の点字ブロックは北欧でも駅には多いが、一般道では殆ど無く日本の方が多く目にする。
第二次世界大戦で戦災に遭っていない都市が多く、必然的に古い建物も多いため、道路との段差が残り、エレベーターの設置が不可能な場合も多い。日本では田舎の駅でも普及しているが、エレベーターやエスカレーターが完備してある駅は多くない。歩道は日本よりは広いが、旧市街が多い分ドイツよりも狭い道が多く、見た目には美しい石畳も障害者の障壁となっている。
もちろん、日本は道路や歩道は別として、建物の建て直しサイクルが短い分、バリアフリー化は北欧よりも進んでいる。
以上から、バリアフリー化に関しては日本も北欧も同じレベルといえる。
強権が無いことによる日本の無計画な都市景観の酷さや道路の狭さ歩道の少なさは、欧米と比較にならない。仮に日本政府に強権力があれば、道路拡張も簡単になり北欧以上のバリアフリー国家建設も容易いが、民主党のような中国人や朝鮮人の生活が一番と思っているような政党が政権を握っている状況では無い方がよい。


日本の都会では英語、中国語、ハングルが案内標識に表記され、場所によってはスペイン語ポルトガル語の記まで見受けられる。北欧の公共の場では自国語と英語、もしくはスウェーデンフィンランドでは両国の言語を併記している場合が多いが、北欧に多く訪れるドイツ人やロシア人の言語はホテル以外では殆ど目にしない。


国民のマナー意識は北欧よりも日本の方が高いように思える。北欧諸国は税金が高い分、町の清掃も公共機関が頻繁に行っているが、結果として、ゴミを捨てててもすぐに綺麗にしてくれるとの誤った意識が増えている。
公共交通での携帯電話の使用が禁じられていない場合が多く、車内は携帯電話や会話で煩い。


デンマークは日本に次いで10位ながら、北欧四カ国はトップ10入りを果たしている。こういったランキングでは北欧は常に上位だが、結局は白人至上主義者による勝手な願望とイメージの賜物、つまり脳内の理想郷ではないかと思ってしまう。欧米人にとっては、有色人種の血が少ない金髪青眼の北欧人が理想郷を築くのは当然だとの思いもあるのかもしれない。
私は北欧に住みたいとは思わない。これは私が日本人であり有色人種だからとの理由ではない。仮に私が白人だとしても、北欧は魅力的に思えない。私の周りのドイツ人も物価が高いだけの北欧には住みたくないと言う。欧州系のアメリカ人にしても、好き好んで北欧に住もうと思う人は少ないのではないだろうか。
そこそこの利便性が有り、刺激があり、文化力があり、世界に対し影響力のある国家は最低でも五千万人以上の人口を要する。テレビを見ればドイツやアメリカの映画や番組や音楽ばかり、母国語よりも英語を覚えたほうが便利な国家が果たして魅力的なのだろう。その点からもドイツは非常に魅力的であり、私は仮に日本に生まれなかったならば、ドイツに生まれたいと思う。


弱者に優しい国づくりを進める日本、本当の豊かさはGDPでは測れない―中国紙 2010年5月9日 レコードチャイナ


日本の自虐反日マスコミは、外国かぶれが多いのか白人至上主義者や中華思想主義者に洗脳された輩が多いのか分からないが、北欧の暗部は殆ど報道しない。確かに、北欧は進んでいる部分もあるが、一部分だけを捉えて国家全体のイメージに繋げてしまうのはどうかと思う。
北欧ほどの小国でさえ、田舎までバリアフリーが行き届いていることはないが、日本ではどんな田舎の施設でも自動ドアがありトイレは清潔でハイテクの塊だ。


これらの事実を知っても日本よりも北欧に住む方が良いというのであれば、止めない。


同調査において人口小国相手とはいえ日本が9位に甘んじている要因として、「政治環境」25位が挙げられる。政権がコロコロと代わり、小沢や鳩山などの汚職政治家が幅を利かし、国民の支持が低いのが要因だが、中国と日本を比較すると中国はかなり悪い。政治環境とはいうが、国際社会への影響力、世界戦略の有無、強権力、統制力は政治環境には含まれていないようだ。強権力や統制力は一歩間違えれば人権侵害国家になってしまうが、国家の安定とインフラ整備、新法律の制定においては高い機動力と効果を与えられる。


人口1億人以上の国と、日本の県程度の人口しかない国を比較するのはそもそも無理があるが、日本の政治力が上がれば同調査での順位は更に上がりそうだ。
しかしながら、いくら日本が素晴らしいと言っても、問題が全く無いことはない。そして、日本の本当の問題点は実際には政治力だけではない。


独断と偏見ながら、同調査では推測できない日本の問題点を考えてみたい。


言論の自由のない中国でも、独裁者による弾圧が続いている北朝鮮でも、自国を愛する人が多い。日本はこれらならず者国家とは比較にならないほど住みやすい国家にもかかわらず、同ランキングを見ても日本を公平に評価できない日本人が多い。
どの国家でも祖国を愛するように教育されているが、日本は日教組による反日歴史教育により誇るべき歴史は穢され、祖国を憎むように洗脳されている。隣国の韓国は日本とは対照的に、愛国心教育と楽観的マスコミが国民を先導しているにも関わらず、日本よりも自殺率が高いのは国民を抑制できないほど、国家が破綻に向かっているとの証拠にもなるが、日本は違う。日本には韓国にはない歴史があり、尊ぶべき先祖がおり、社会も経済も安定している。更には文化力や技術力も有しており、韓国の根拠のない慢心とは全く違う。日教組による反日自虐教育が消えれば、若者も将来に希望を持つようになり自殺率も減るように思える。


日教組だけではなくマスコミも中国や朝鮮の歴史解釈ばかり認め、経済においても悲観論ばかり報道しているが、国民に対するこれら反日自虐洗脳が無くなれば、楽観論者が増え財布の紐も緩み国内消費も活性化する。そんな程度で変わる訳がないと反論する人もいるだろうが、インターネットが普及した現在でも、民主党の実態を知らずに投票する人々が多いことからも、国民への悪影響は想像以上に大きい。


自殺は若者だけではなく、中年男性も多い。日本では仕事が生きがいとの男性が多い。アフター5は同僚と飲み歩き、休日はゴルフ接待で家族との時間が殆ど無い。更にはサービス残業や休日出勤もあり、有給休暇も堂々と消化できない。このような環境下では、仮に失業したり定年退職した場合、生きがいやアイディンティティを失ったり、過労によるストレスや欝の発症によって自殺に追い込まれるのは必然的ともいえる。
これらを改善するには法制度も必要だが、最終的には会社や家族に対する雇用主や従業員の価値観を変えるしかない。
休暇が増え残業も減れば、会社に対する依存度も減り、家族や地域社会との繋がりを大切にする人々が増え、自殺も減るのではないだろうか。更には消費も増え経済も活性化する。


日本の優先すべき問題は、政治は勿論ながら、日教組や既存メディアによる反日自虐洗脳および過度な仕事依存環境との結論になる。


これらが改善されれば、日本人のストレスや自殺率も減り、文化力や技術力も更に向上し、名実ともに世界一住みよい国になりそうだ。