ハロウィン


アングロ・サクソン系諸国では一般的なハロウィンだが、最近はドイツでも流行り始めてきた。10年前は話題として取り上げられることも殆どなかったが、私の家にも二〜三年前から仮面を被った子どもが夜更けと共にやって来るようになった。
スーパーでも特設売り場が見受けられるようになり、売り手や子供にとって嬉しい繁忙期になりつつあるが、アメリカからの安易な文化流入や、便乗した犯罪や事故を危惧する声もドイツでは多く、警察や消防、病院にとっては忙しい夜となった。


流行に鈍感なドイツの年配者にとってハロウィンは未だに異質であり、場合によっては未知の風習であるから、時には恐怖を伴うこともある。
以下、WELT紙による報道の一部を紹介してみたい。


Halloween: Mit Pfefferspray, Faust und Gehstock gegen Kinder - Nachrichten Panorama - WELT ONLINE


10月31日の夜、シュタイネンブロンで年配女性宅に子供たちが杖でドアを叩きお菓子を要求したところ、警察へ連絡されてしまった。子どもの一人が傷を負わされたので、子供の父親が年配女性に対し釈明を求めたが、彼女は警察に対する申立を断っている。
ベーブリンゲンでは、お菓子を求め家のベルを鳴らした子供たちを男性が殴ってしまった。エスリンゲンでは、79歳の男性が催涙スプレーをマスクを被った10歳、11歳、12歳の三人の少年たちに噴射し、少年たちは皮膚や呼吸に炎症や刺激を負った。
レーゲンスブルクでは、51歳の男性が家のベルを鳴らした10代の少年二人を殴り、負傷させ入院させたかどで刑事告発されている。
レーハウでは12歳から13歳の少年三人が訪問先の家主から平手打ちを受けた。驚いた三人は逃げるように敷地から出ようとしたが、家主は逃げる少年を門に押し付け、軽症を負わせた。
ハンブルクではゴミコンテナが燃え、バンベルクでは13歳から15歳の少年たちが駐車車両に燃えたトイレットペーパーを投げつけ、2万ユーロの損害を与えた。ハンブルクの警察及び消防は、同日だけで100回以上の出動があったという。


以上から、ドイツではハロウィンが未だに理解されていないとの事が分かる。日本人からすると少々過激ながら、秩序を尊び外敵に対し果敢に挑むドイツ人ならではの反応ともいえ、銃が出ないだけアメリカよりマシか。


同ニュースではアンケートもとっている。ハロウィンをどう感じるかについての割合は2日現在で以下となっている。

  • 楽しい 14%
  • 面白い 11%
  • つまらない 6%
  • 苛立たしい 62%
  • 知らない 7%


以上のように、概ね評価は悪い。日本では欧米を一括りにする風潮があるが、やはりドイツ人とアングロサクソンは違うと思わせる。
日本でも流行りつつ有るようだが、一部の商売人が儲けるために広めさせようとしている魂胆が見え見えで、多くのドイツ人と同じく私もハロウィンを好きになれない。元々はケルト人の祭に由来すると言うが、アメリカナイズされた乱痴気騒ぎとしか思えない。


同じような祭が欲しければ、日本のお盆のように厳かで静かな祭が世界に広まる方が、警察にとっても住人にとっても良い。
アメリカの文化流入が激しいが、何でもかんでもアメリカとの風潮は如何なものか。日本にはアメリカに匹敵するほどの文化力がある。灯篭流しや夏の花火大会等が世界で受け入れらつつある今、アメリカ式の馬鹿騒ぎだけではない風情のある祭を世界は求めているように思える。


ドイツのハロウィンは、これだけでいい


[rakuten:hmvjapan:10956021:detail]