アラブ騒乱から垣間見る中国の未来




Arab and Middle East revolt - an interactive map | World news | guardian.co.uk

オレンジ=指導者追放

黄色=政情不安


既存メディアが虚勢を張る日本と違い、世界におけるネットの力は大きい。
アラブ諸国独裁政権フェイスブックの呼びかけによって集まった民衆によって次々と倒されているが、独裁者の溜め込んでいた資産にも驚愕する。
チュニジアではベンアリ前大統領宮殿の隠し金庫から大量の宝飾品や金が発見されたが、同一族は8000億円の資産があるという。
ベンアリ前大統領はまだマシで、エジプトのムバラク前大統領一家の資産総額は凡そ700億ドル(約5兆8000億円)という 。
傭兵で国民を大量殺戮しているカダフィ大佐の資産はイギリス国内だけでも、200億ポンド(約2兆6300億円)。世界各国の資産を合計したら幾らになるのだろうか。


英首相、リビア制裁へ取り組み強化=資産2.6兆円差し押さえか 2011/02/25  時事通信


イスラムにはザカート(喜捨)、簡単に表現すると相互扶助システムがある。これによって富む者は率先して貧しい者に寄付をするが、アラブの独裁者達は偽りのイスラム教徒だったのだろうか。
サウジアラビアのワリード・ビンタラール王子 は投資家、そして大富豪として世界的に有名だが、資産総額は凡そ200億ドルとアラブの独裁者達に遠く及ばない。
貧富の差は革命を生む。ザカートがあるイスラム社会で私腹を肥やす独裁者が生き残るのは難しい。


アラブ諸国で巻き起こっている騒乱は反乱や内戦に発展し、中国や北朝鮮にまで波及している。
中国ジャスミン革命は不発に終わったが、悲観してはならない。中国の不安定要素は消えるどころか拡大の一途を辿っている。


時事ドットコム:中朝国境で数百人がデモ=軍部隊が鎮圧、死傷者情報も−北朝鮮 2011/02/24


「生きていけない。明かり、コメよこせ」北朝鮮各地で騒動発生 韓国紙 2011.2.23- MSN産経ニュース


※拡大する所得格差


独裁政権だろうが国民の生活が豊かであれば転覆することはない。アラブ諸国の騒乱の要因として独裁者への富の集中からも分かるが、一向に改善しない所得格差が挙げられる。そして、中国はアラブ諸国以上の所得格差拡大が問題になっている。


奇しくも今年は辛亥革命からちょうど100年目だが、魯迅著の『阿Q正伝 』には「精神勝利法」を得た日雇い農民・阿Qが描かれている。彼は貧しかろうが、罵られようが、喧嘩で負けようが、「負けてやった」「自身を軽蔑できた」と考え最後は革命の最中、冤罪で処刑される。
現代中国にも、多くの阿Qが存在する。無学・無教養、そして「精神勝利法」を持つ中国人が常に存在する限り、中国の所得格差も永遠に消えない。


高級スポーツカーで高速道路を暴走する太子党共産党・高級幹部の子女達)


中国の統計はアテにならないが、所得格差は粉飾しても隠しきれない状況にまで追い込まれている。


1%の家庭が中国全国の富41%を掌握…新華社が掲載後に削除 2010/06/08(火) サーチナ

 新華社が運営するニュースサイト「新華網」8日、中国では1%の家庭が全国の富の41.4%を掌握しているなど、格差問題の深刻さを改めて指摘する解説記事を掲載した。ただし、同記事は日本時間午後5時20分までに削除された。理由は不明。

  記事は世界銀行の調べとして、米国では人口の5%が国の富の60%を掌握、中国は1%の家庭が国の富の41.4%を掌握してと指摘。「中国の富の集中は米国をはるかに越えている。世界上、貧富の両極化がもっとも深刻な国のひとつだ」などと主張した。
(以下略)


中国で拡大する所得格差が「危険水域」に ワーキングプアも出現 2010/05/12(水) サーチナ


余談だが、日本の反日メディアは「日本は格差社会」だの「日本の所得格差は増大している」と煽るが、実際には世界屈指の所得格差の少ない国家でもある。
以下は国連開発計画が調査した各国ジニ係数ランキングだが、各国ともデータの年代が違うので参考程度としても、日本は128カ国中でデンマークに次いで格差のない国と評価されている。

GINI INDEX RATING FOR 128 COUNTRIES- DECEMBER 2009


1位 デンマーク24.7
2位 日本 24.9
3位 スウェーデン25.0
4位 スロヴァキア 25.8
5位 チェコ 25.8
6位 ノルウェー 25.8
7位 フィンランド 26.9
8位 ベラルーシ 27.9
9位 ウクライナ 28.2
10位 ドイツ 28.3


“国民よりも民主党政治家の生活が一番”の民主党政権になってから所得格差が増大している可能性もあるが、平成17年に比べ、平成20年は改善されている。



平成20年 所得再分配調査報告書 厚生労働省政策統括官(社会保障担当)


※拡大する汚職


歴史を見ても、支那(中国)大陸の政治に汚職は付きものだが、バブル経済汚職の規模も莫大にする。今月、汚職容疑で拘束された中国鉄道部運輸局局長の張曙光 は、アメリカとスイスだけでも28億ドル(約2340億円)の預金があるという。「中国高速鉄道の第一人者」と呼ばれているエンジニアでさえこの有様、党幹部の汚職による暴利はそれ以上と思われる。


※弾圧と慢性的反乱



現代中国は、天安門事件前の中国よりもひどい状況といえる。天安門事件は東側諸国における一連の民主化運動が一つの大きなキッカケとなったが、当時の学生は“民主化”と“汚職”の追放を叫んでいた。
同事件の1989年から二十年以上経過したが、言論弾圧報道規制、高官の汚職は当時以上に拡大している。民主活動家や少数民族への継続的な弾圧は過激さを増し、気功団体・法輪功に対する弾圧も1999年に加わった。法輪功の信者は中国内だけでも一億人を超える。数字上で単純に考えても、1989年当時以上の弾圧が行われている。
法輪功信者に対する弾圧は冤罪による処刑は勿論ながら、虐殺・強姦・臓器狩り人体実験と常軌を逸している。



弾圧先の増加に比例するように、各地の反乱も多発している。昨年の尖閣諸島事件に端を発する反日デモは沿海部の都市ではなく、内陸部の都市が殆どで、反日だけではなく中央政府への直訴も同時に行われていた。反日デモ中国当局にとって都合がよいので大々的に報道されたが、少数民族の反乱や地方農民もしくは日雇いルンペンの反乱は報道規制を受けながらも、中国各地で常に発生している。



2008年6月28日に貴州省で起きた数万人の暴動


アラブ諸国では、普及率の高いフェイスブックが騒乱拡大の要因となったが、中国のインターネット監視能力はアラブ諸国と比較にならないほど高い。
天安門事件時代はインターネットが無かったが、中国各地で暴動があった。無論、歴代の易姓革命時代にもインターネットなどなかった。
故に、中国当局によるインターネット監視はある程度の抑止力となるが、焼け石に水程度の効果しかない。


しかしながら、中国民衆による革命は、中国当局の過酷な弾圧もあり成功しない。

内乱状態に陥っているリビアの正式名称は、大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国 。現在、国民を大虐殺しているリビアカダフィ大佐イスラム社会主義を融合させようとした人物である。その思想は、毛沢東語録を模倣して著した「緑の書」からも垣間見られる。彼は「(中国の)天安門事件のようにデモ隊をたたきつぶす」と発言した。
国民を第一に考える保守派と異なり、理想や思想を重んじる左翼冒険主義者が自身の思想と相容れない国民を容赦なく虐殺するのは、世界各国の左翼政権内で起こった内ゲバや1971・1972年の日本で起こった総括リンチ殺人、通称・山岳ベース事件を見ても分かる。


現代中国の権力者も左翼冒険主義者に過ぎないが、共産主義という左翼の中でも最も過激な思想を持ったカルト集団でもある。同集団は北朝鮮金正日、中国の胡錦濤だけではなく、過去にはポル・ポトスターリン毛沢東など多くの大量殺人鬼を生み出してきた。現在の日本もまた左翼政権だが、菅と小沢の内ゲバだけで終焉して欲しい。


更に、中国支配民族の漢民族は元来、残虐で自己中心的な民族性だから、中国当局によるデモ弾圧はリビア以上と思われる。中国の歴代王朝にしても、現在の共産党にしても、民衆は守るべき存在ではなく、搾取する存在に過ぎない。
カダフィ大佐側は親族と側近、傭兵だけだが、中国の共産党員は8千万人。これほどまで存在する特権階級が既得権や富を守ろうとするのだから、必死さも尋常ではない。内部崩壊がなければ、充分に民衆を鎮圧できる。更に、人民解放軍は国民を守るためではなく、共産党を守るために存在する私兵でもある。
故に、仮に民衆だけが立ち上がっても、天安門事件のように鎮圧されるだけだ。


バブル崩壊一党独裁の崩壊


中国の将来は、過去の歴史から窺い知れる。
歴代の易姓革命は何故、起こったのだろうか。要因として、王朝末期の汚職蔓延、それによる格差拡大、階級の固定化、次々と固定化される税制や法律が挙げられる。対照的に、王朝初期は法制度も未確立で、賄賂の金もなく、全ての人々が貧しく民衆の精神は落ち着いていたから国も安定していた。


中国の民衆を怒らせる要因は常に、所得格差の増大、民衆への締め付け、蔓延る汚職しかない。これらカルマを背負った中国史の中で、民衆の心情を理解する法輪功が多くの支持を得るのは当然の成り行きといえる。嘗ての中国王朝末期もまた民衆の心情を理解した新興宗教が力を持った。後漢時代の黄巾の乱に始まり、清朝末期の太平天国の乱と枚挙に暇がない。
易姓革命のキッカケの多くは新興宗教団体だが、最終的には異民族や匪賊が国を乱立し戦国時代に突入するか、もしくは統一してきた。


今の共産党もまた嘗ての歴代王朝と同じ流れで政権を握っている。キリスト教新興宗教団体による太平天国の乱に始まり、軍閥の群雄割拠、最後には匪賊の毛沢東共産党を率いて軍事力で政権を勝ち取った。


現代中国でも法輪功の弾圧に始まり、貧困農民の反乱が各地で多発している。
その先に、必ず起きる史上最大のバブル崩壊起爆剤となり、地方人民軍が蜂起し群雄割拠になるのか、反乱地方農民や民主活動家が政権を握るのか。国連軍主導の外国勢力による支配下になるのか、三通りの未来がある。


軍閥や地方閥による分割統治


現状として一番可能性のある未来は、群雄割拠か。近年の軍拡で力を付けた地方軍閥や、豊富な資金を有している上海閥、浙江閥等の地方閥が中央政府に反旗を翻す。広大な国土を有し、地方軍閥や地方閥が強大な中国は、共産党という強権の存在なくしては一つに纏まらない。
内乱になるのか、内乱を経ずに分裂するかは分からないが、仮に内乱になった場合は、難民問題が生じる。しかし、陸続きの国が一番の収容先となり、日本が第一になることはない。現状の、中国からの大量の留学生や観光客や不法入国者が日本に齎す災禍の方が、問題に思える。


※民主国家化


共産主義政権が倒され、単純に一つの民主主義政権になる可能性は限りなく低い。現代中国人は過去の漢民族と異なり、愛国心を植えつけられているが、自己中心的な民族性は変わっていない。前述したが、軍閥、地方閥、これら相反する勢力が、共産党という独裁政権が無くなった後も結束するとは思えない。


仮に民主主義で統一されたとしても、現状のロシアを見ても分かるが、弾圧が無くなったことを機にマフィアが幅を効かせ、過激な民族主義に走り、日本は今以上の反日国家に悩まされてしまう。無論、民衆にとっても、マフィアの支配は共産党の支配と同じく恐怖しか抱かない。
世界各国の危惧として、軍閥による群雄割拠にも当て嵌まるが、今以上に拝金主義が正当化されるから核兵器の流出は避けられない。


※外国による分割統治


結論として、各外国勢力が内乱防止の目的で中国を分割管理する策が世界にも中国民衆にも最善なように思える。しかしながら、まずは中国の常任理事国解任が必要となり現実化は難しい。仮に各国勢力が中国を分割統治した場合、ロシアが脅威となるが、中国からの人口流出を脅威と考えているから、ロシアに対する抑止力としても中国民衆は効果がある。
統治する国家は中国を抜かした常任理事国以外には、日本、ドイツが考えられる。無論、チベットウイグルは独立し、内モンゴルはモンゴルの統治下になる。一部地域は内モンゴルのように周辺国家が統治するかもしれない。
何れにしても、漢民族が統治する国家よりはマシになる。独立闘争が気になるが、愛国心が芽生えているのは一部のエリート漢民族に過ぎない。香港、上海、北京、南京等の大都市もしくは周辺の省を含んだ独立国家を認めさせれば他は阿Qに過ぎないから、外国人が統治しても反乱は起きない。多くの中国民衆は良い暮らしが送れれば、宇宙人が統治しようが悪魔が統治しようが誰でもよいと考えている。


アメリカ政府は崩壊後の中国まで考えているかもしれないが、日本政府はどうだろうか。
備えあれば憂いなし。日本で地震対策が当然なように、中国の崩壊に対しても、万全の準備が必要な時期に来ている。