ドイツは本当に寒くて乾燥しているのだろうか


南北に長い日本は一様ではなくドイツと日本の気候を単純に比較するのも無理があるが、敢えて日本を一括りにしたとしても、ドイツは日本と比べ本当に寒く乾燥しているのだろうか。


日本人からすると緯度的に樺太と同じであるドイツの冬は寒いと思われがちだが、本州の京都や甲府に代表される盆地程度の気候に似ている(夏は除く)。
冬は北大西洋海流の影響で、南ドイツよりも北ドイツの方が暖かい。南ドイツは豪雪地帯が多いが、北ドイツは殆ど雪が積もらない。それでも積雪量や温度を加味すると、北海道・東北・北陸地方に比べドイツの方が過ごしやすい。

ドイツの冬の平均気温は日本よりも低いが実際には最高気温が低いだけで、日本の方が最低気温の低い日も多い。ドイツの年間平均気温が低くなる理由は、冬が曇りがちで昼間の最高気温が上がらない為と夏の気温が比較的低い為である(冬場に晴れた場合の、ドイツの放射冷却現象効果率は高く、気温が突然下がる事もある)。
日本の年間平均気温が高い原因は、夏の暑さが理由なだけではなく、冬の日照時間の多さが上げられる。もちろん、日照時間にしても一概に日本を一つとして語れず、晴天率に関しては冬の北陸と冬のドイツが類似している。



住環境は、確実にドイツの冬の方が暖かい。ドイツの住宅には必ずハイツゥング(オイルヒーター)がある為、日本の住宅よりも快適だ。私の住居は最近、暖房代節約処置として外壁の断熱効果を上げるリフォームをしたが、12月時点で室内温度はハイツゥングを点けなくても18度から20度を維持している。断熱材による影響もあるが、元々コンクリートやレンガ造りが多く、二重ガラスとの理由もある。
住環境については北海道も似ているが、ドイツの住宅は更に重厚で防寒対策が優れている。
北海道の住宅は別として、本州では12月で室内温度が10度以下になる住居も多い。ドイツが寒いと感じてしまうのは、日中の最高気温の低さもあるが自宅と外気の温度差に体が反応する為ではないだろうか。


また、在独日本人の間でもドイツは乾燥していると思われがちだが、実際にはドイツも湿度が高い。
ドイツが乾燥していると思う要因は建物の構造上の差異もあるが、高湿度な日本の暑い夏と快適なドイツの夏を比較してしまうからではないだろうか。しかしながら、日本の冬は異常乾燥注意報が出るくらいに湿度が低いが、ドイツの冬は雨や霧が多く一日中、湿気を帯びている。
ドイツの夏が快適なのは湿度の問題ではなく、低い温度が原因な場合が多い。肌には湿度60パーセントから65%が良いと言われているが、むしろ年間を通してドイツの方が肌には適しており、日本の冬場は適していない。


日本の暑い夏やドイツの冬の最高気温の低さなど、ついつい極端な事象に目を向けがちだが、データを見てみると違った真実が見えてきて面白い。
政治や経済だけではなく何事も常識やマスコミ、噂に流されない目が必要なのかもしれない。



2002年度気象庁データ・気温と湿度(ハムエッグ)





ドイツの年間湿度(青空@ドイツ)

1月  85%
2月  85%
3月  76%
4月  70%
5月  68%
6月  69%
7月  70%
8月  73%
9月  78%
10月 82%
11月 85%
12月 86%


Lienen(北西ドイツ)の2007年度年間湿度(Wetterstationen.info)
1月  79%
2月  77%
3月  76%
4月  76%
5月  68%
6月  61%
7月  72%
8月  77%
9月  83%
10月 89%
11月 91%
12月 83%


ドイツ各都市の気温と降水量(青空@ドイツ)