反省を知らないドイツの一般大衆(ナチスとグラス報道)

今、巷ではノーベル賞作家であるギュンター・グラス氏が、過去にナチス武装親衛隊に所属していた事実を告白し、物議を醸している。ドイツ人はとかく“ナチス”に対して異常なほどのアレルギーを持っており、ナチスに少しでも関与していただけでも、人でなしの烙印を押されるような環境だ。例え話だが、ドイツの町もストリート・アート(グラフティー)にもならない落書きが溢れているが、不思議なことに逆卍だけは無い。対照的に周辺諸国デンマークポーランドに行った途端に、逆卍の落書きを見つける事が多々ある。「デンマークポーランドは、ナチスに侵略され虐待されたのではないのか?」と不思議がるのはドイツ人とて同じだ。まぁ、アンチ的な意味があったとしてもドイツであれば、そういった落書きを放置することは絶対にない。
では何故、グラス氏は今になって告白したのか。これは本人の心のうちを覗かない限り知る由も無いが、反面教師として告白した訳でもないだろう。
再三述べているが、現在のドイツ国民はナチスに全ての戦争責任を押し付けている。それが例え冤罪であっても、ナチスだけが悪いと結論付ければ、それで終わりだから、冤罪も永遠に晴れない。
グラス氏はドイツきってのリベラリストだが、彼が告白したことは重大な意味を持つ。要は、彼のような後のリベラリストになるものでも、ナチスに心酔していたのだ。嘗てのドイツ国民は、否、周辺諸国でさえナチスを賞賛した。そういったナチスを絶対悪にして「私達国民は洗脳されたていただけだ。」との言い訳は如何なものだろうか。これではまるで「自分達は意志のない、無知で馬鹿で愚鈍な国民です。」と証明しているようなものだ。それこそ、自身の父母や祖父母に対する冒涜ではないだろうか。言っておくが、ナチスは何も軍隊や政権内工作でドイツを統一したわけではない。民主主義に乗っ取って民意で選ばれたのだ(中国共産党は対照的に、内戦で政権を勝ち取った)。
よく、「ナチスは、自作自演の国会議事堂放火によって権力を得たのではないか。」との反論もあるが、未だにオランダ人共産主義青年マリヌス・ファン・デア・ルッベの単独犯行であったのか、ナチスの陰謀であったのかは立証されていない(これは、現在の加藤氏実家放火犯にも通じるだろう)。ナチス陰謀論を正当化するのであれば、今回の加藤氏実家放火犯が、左翼の陰謀だったとの結論も、まかり通ることになる。
そもそも、現在におけるナチス絶対悪の歴史概念ではホロコーストも絶対真実であり、親衛隊も絶対悪とされ、親衛隊における帝国保安主要局がユダヤ人を虐殺したとの事も疑いようの無い既成事実とされている。だが少なくとも、彼の所属していた武装親衛隊は前線で戦っていた尖兵だ。彼らは先陣をきって命を呈し国や家族を守る為に戦っていた。今のドイツ国民は傲慢にも、民主主義によって選ばれたナチスを弾劾し、先陣をきって国を守るために戦ったグラス氏を弾劾しているのだ。
リベラリストによる言論弾圧ドイツ国民を愚民化させ、更なる差別と矛盾を生じさせてはいないだろうか?悪いのはヒトラーだけか?悪いのはナチスだけか?では、それを支持したドイツ国民に罪はないのか?第三帝国を滅ぼした今の共産主義の現状は理想なのか?今の自由経済の現状は理想なのか?ナチスは、多くの弊害を齎す性急な共産主義とは対照的な理想的社会主義政権であったとの事実を、どう思うのか?ヒトラーが大悪人であれば、スターリン毛沢東は大悪魔なのではないだろうか?


さて、ナチスを今もプロパガンダの一環として糾弾する自称、リベラリストの雄、世界の警察アメリカは、イラク侵略の口実の一つとして、フセイン政権がアルカイダに協力しているとの情報を持ち出した。だが、今回それが捏造であったと暴露された。言うまでも無く、アメリカは自国の正義の為なら捏造でも何でも持ち出すような国家だ。民主主義云々よりも、イランやイラクの資源だけが目当てなのだ。日本は今、自己中心的な国家・中国やアメリカを頼らずに、自国のアイディンティティーを模索する時期に差し掛かっている。そしてドイツも同じくだ。
ドイツ人よ。共産主義に蒙昧な幻想を抱くよりも、自由主義に蒙昧な幻想を抱くよりも、貴民族は崇高な経済概念と理想を有していた現実を見直すべきだろう。そして、冤罪も・・・。それには、貴民族が現在もヒトラーの意志を受け継いでいるとの現実を直視する必要がある。今は、グラス氏の告白が歴史の転換期になる事を祈ってやまない。


<米報告書>イラク旧政権とアルカイダの協力関係否定(毎日新聞)


SS隊員の「自白」

ニュルンベルク裁判やその他の裁判で、ナチスの関係者も絶滅について証言しているのではないでしょうか?

<回答>

 たしかに、このような裁判でのSSの被告のほぼ全員がユダヤ人の絶滅の現実性を認めています。しかし、彼らの大半にとって、その自白は、その場かぎりの日和見主義的な弁護戦術にもとづいていたのです。被告の最大の関心は、できるかぎり寛大な判決を受けて、裁判から逃れることでした。このような裁判はすべて、ユダヤ人の絶滅を「周知の事実」とみなしていましたので、被告側が、このドグマの否定を弁護方針の争点にすることはまったく無意味であると考えられたのです。ベルゼン裁判では、アウシュヴィッツ〓(ビルケナウ)とベルゼンの所長であったヨーゼフ・クラマーは、このようなドグマを否定しようとしていました。彼は最初の供述では、ガス室に関するアウシュヴィッツの囚人たちの供述を「最初から最後まで虚偽である」[1]と述べています。しかし、クラマーは、公判中にこの弁護方針が無益であることを悟ると、殺人ガス室は存在したけれども、自分はまったく無関係であると述べて、姿勢を急遽変えたのです。[2]

 オーレンドルフのケースについてはすでに申し上げました。その他のケースでも、自白は取引か脅迫の結果です。たとえば、ライトリンガーも指摘しているように、「ザレフスキはニュルンベルクワルシャワで証人として証言したことで、ロシア送りをまぬがれた」[3]のです。

 その他の自白は拷問によって引き出されました。1948年、ヴァン・ローデンとシンプソン判事のアメリカ調査委員会がダッハウ裁判の作業を調査しましたが、被告の自白があらゆる種類の肉体的・精神的拷問によって引き出されたこと、調査した139例のうち137例では、被告が睾丸に治癒不能な重症を負っていることを確証しています。[4]

 SS上級突撃長クルト・ゲルシュタインはベルゼクの「ガス室」の主要証人であり、彼の「報告」はこの収容所についての公式の真実とみなされています。そして、彼は自発的に証言を書いたということになっています。しかし、彼の証言は、私が別稿[5]ですでに明らかにしていますように、本質的な諸点すべてで信憑性に欠けています。ゲルシュタインは、700−800名が5×4mのガス室――奇妙なことに、面積25㎡、容積45㎥となっている――に押し込まれた、すなわち1㎡あたり28−30名が押し込まれたと述べています。そして、彼は、非論理的な算術計算を使って、この数字の正確さを証明し、自分の証言は文字通り真実であると結論しているのです。

 レオン・ポリャーコフは、ゲルシュタイン「報告」を出版するにあたって、この馬鹿げた数字をそのまま記載せず、資料[6]を「修正」して、25㎡の代わりに93㎡としています。しかし、ガス室の容積は「修正」していませんので、彼のテキストでは、ガス室の高さは48cmとなってしまっています