レクサスの強みと、ドイツ車の幻想

トヨタの破竹の勢いは止まらない。トヨタのイメージも昔に比べて随分と変わった。昔は、営業のトヨタ、技術の日産であったが、今では技術と営業のトヨタとして世界を席巻している。


トヨタの故障知らずはドイツとて同じで、中古車市場でもアウディメルセデスBMWと同じく高値で売り買いされている。
日本におけるドイツ車人気は、概ねイメージに負う部分が大きい。質実剛健、マイスター、技術力等々、悪いイメージはない。だが実際には、イメージだけが先行している。ドイツ車の質実剛健は、ただ単に軽量化できないだけ、マイスター制度も旧態依然となるだけ、技術力も日々変化する世界情勢に追いついていない。
電気系統に至っては致命的だ。先だって起きたドイツでのリニアモーターカー事故は、現代ドイツの象徴的事故でもある。管理体制の不備はもとより、技術力でもドイツは日本に大きく負けている。最高速度は日本が552kmに対しドイツは450km、浮上高さは日本が10cmに対しドイツはたったの5mm。これはリニアモーターカーだけではなく、日独全ての技術力の差に当てはまる。


確かに、アウトバーンを走ることに関しては、ドイツ車は適していると言えるが、アウトバーンは平坦で、単調だ。そのような状況下であれば正直、馬力があればどんな車でも快適に走れる。
対照的に日本の高速道路は、高速にも拘わらず、高低が激しくカーブもきつく道も狭い。どちらが、車のポテンシャルを引き出すことが出来るかは言うまでもない。
確かにドイツ車は、他の欧州車より故障が少ないのも事実だし、ドイツ車でも排気量の小さい、装備の少ない小型車(VWのポロやルポ等)は故障が少ない。だが、日本車と比べるにあたり、これら優秀性は途端に色あせる。
だから、ドイツ車を買うにあたり、質実剛健、マイスター、技術力を期待していると、痛い目にあう。では、ドイツ車を買うにはどういった動機が必要か?それは即ち“ドイツという国を味わいたいから”しかないだろう。


昨今の、世界におけるトヨタ旗艦ブランド・レクサスの人気は、ドイツ車への幻想から抜けた人達をターゲットにしているからだろう。日本で出だしの鈍かったレクサスも、旗艦モデルの発売でようやく本領発揮となった。
レクサスが更なる成長を遂げるには、1000万円台のモデルを打ち出す必要がある。最高級のドイツ車と価格帯で同じ土俵にたったなら、ドイツ車の幻想から覚めた人々ではなくとも、レクサスの素晴らしさを再認識するのではないだろうか。
レクサスには、日本の文化・伝統、技術力、職人気質がある。レクサス購買層の動機は、“日本という国を味わいたいから”だけではない。レクサスの強みはそこにある。


最上級レクサス受注1万2000台 トヨタ 好スタートも欧州勢崩せず(フジサンケイ ビジネスアイ) - 10月20日 

■異なる価格帯
そもそもメルセデス・ベンツのSクラスは、最低価格のモデルが987万円で、レクサスの最上級クラスよりも高い。ベンツ側は、「競合とは思っていない」(広報部)と強気だ。
 LS460で、最も受注が多いのは800万円台のモデルで、約40%を占め、900万円超は23%だった。これに対し、ベンツSクラスは1260万〜1396万円のS500が最も売れており、価格帯が大きく異なる。
 BMWでも、「LS460投入後の販売状況は、特に何も変わっていない」(同)と、至って冷静だ。
 ただ、セルシオがフルモデルチェンジした際に、輸入車からの乗り換えが約2%だったのに比べると、LS460の約1割という数字は健闘に値するともいえる。
 また、トヨタでは、「来春に投入予定のハイブリッド車への問い合わせが多い」としている。今年3月に発売したレクサス「GS」のハイブリッド車は、輸入車からの乗り換えユーザーが3割と高かっただけに、LS460のハイブリッド車を待っている潜在ユーザーも期待できる。
 LS460の投入で、トヨタの悲願でもある「レクサス」ブランドの確立に向け、ひとつのステップをクリアしたといえそうだ。(池誠二郎)


トヨタ「レクサス」、欧州でハイブリッド拡販

【パリ=小高航】トヨタ自動車はハイブリッド技術を武器に、独メーカーが強い欧州高級車市場で攻勢をかける。6―7年かけて同技術を搭載した「レクサス」の車種数を倍増するほか、店舗の刷新や新設などでも約300億円を投じる。欧州で販売するレクサスでは、2010年代初頭にハイブリッド車の比率を現在の27%から5割弱に増やし、年10万台への拡販を目指す。[10月2日/日本経済新聞 朝刊]


9月の欧州新車登録台数、トヨタは2ケタの伸び=ACEA (ロイター)2006年10月13日

[フランクフルト 13日 ロイター] 欧州自動車工業会(ACEA)が13日発表した9月の欧州新車登録台数は、前年比2.6%減となり、4カ月連続の前年割れとなった。伊フィアットトヨタ自動車<7203.T>が再び2ケタの伸び率を達成した一方で、日産自動車<7201.T>と仏ルノーは大きく落ち込んだ。
 9月の総登録台数は140万台。2005年9月より営業日数が1日少なかったことも前年割れの一因という。2006年1─9月の登録台数は、前年比0.1%増にとどまった。
 欧州の一部では、燃料価格の高騰や金利上昇による買い控えが見られた。
 こうした状況に対応する策の一つが、新モデルの投入を続けることで、その点でフィアットは成果をあげた。
 フィアットの新車登録台数は、グループで前年比14.6%増、フィアット本体が同19.3%増、アルファ・ロメオ部門が10.4%だった。
 トヨタは、グループで12.1%増。トヨタブランドが9.9%増。
 ルノーグループは14.2%減。