ドイツにおけるアルコールに対する許容度

Kornbrand



ドイツは日本以上にアルコールに寛大だ。最も、自国が誇るビールの存在や、元来アルコールに強い民族性との理由もある。更には、娯楽の少ないドイツにおいては酒が一番の楽しみになりやすい。故に中年男性の殆どは、ドイツ語もそのまま、ビール腹(Bierbauch)となる。


日本人の様にアルコールに弱くないから眠り込む人がいないだけで、酔った時の失態は日本人と同じか眠らない分、日本人以上といえる。
ドイツの誕生日パーティーは大人でも友人知人を自宅に呼んで祝う事が多いが、その中でも若者の酔っ払い振りは凄まじい。ドイツはパーティーでも12時を過ぎれば静かにしなければ近所から苦情が来るが、それでも騒ぎたい場合は電車に乗って町へ繰り出す。故に、真夜中の電車は酔っ払った大人数の若者達が縦横無尽に騒ぎまくる状態となる。大声で騒ぎ歌うもの、抱き合うもの、怒り散らすもの、踊るもの、そこにはドイツの秩序など皆無だ。


ドイツ人の酒における醜態は若者だけではない。パーティーで破目を外し辺り構わず騒ぎまくる中年男女も酷いが、地元サッカー試合日のファンは、ローマ時代の馬戦車レースにおける青党・緑党の徒党集団または英国のフーリガンを髣髴させる。
良い年をした中年男性達が場所も弁えず電車内で大声の応援歌、千鳥足もものともせずに、電車内を占拠する始末。
故に、サッカー試合後の路上は、ビールに代表されるアルコールのビンが散乱し、破片も相まって非常に危険だ(ドイツでは味を大切にする為か保守的な為か、ガラス瓶が未だに主流)。
そこには、環境大国ドイツの面影など何処にも無い。リサイクルを重視するはずのガラス瓶が環境破壊では、本末転倒だ。最も、多くの駅前には飲んだくれている失業者が絶えず屯っていて、瓶の路上散乱は珍しい事ではない。


ドイツ人にとってビールは水代わりで、朝も早くからビールを飲む人も多い。日本の土建屋の様に昼食時にビールを飲む会社員も多々見受けられる。
故に、酒による失態を曝け出しているドイツ人は大概がアルコール度数の高い、コルン(Korn麦焼酎)やシュナップス(Schnapsその他蒸留酒)ワインブラント(Weinbrandブドウの蒸留酒、ブランデー)等のドイツ特有の酒や、ウォッカウイスキーテキーラ等の外来酒を飲んでいる。


ドイツにおけるアルコール依存症患者(Alkoholkrankheit bzw Alkoholismus) は450万人と実に国民の18人に1人となっており、2004年の純粋な依存症による死者も4万人を超え、予備軍も含めると一千万人を越えており、依存症患者が200万人程度と言われる日本と比べるとその深刻な状況が窺い知れる。


酒による失態は、ドイツも日本も同じだ。さも知ったように、“日本人の酒癖は悪い”“日本人は節度を知らない子供だ”等と宣う識者は一度、本当のドイツを体感したらどうだろうか。


ドイツの代表的な庶民の酒“コルン”
Althauser Korn Kornbrand 32%. 6 mal 0.70 liter